宮城県仙台市のテレビ局・TBCテレビ(東北放送)で放送される、TBCテレビ60周年記念ドラマ『小さな神たちの祭り』(11月20日 後8:00~9:54)の制作記者会見が3日、同市内で行われた。会見には脚本を手掛けた内館牧子氏、出演する千葉雄大、土村芳、吉岡秀隆、サンドウィッチマンなどが出席。サンドウィッチマンの出演シーンは「きょう撮影に入りまして、きょう終わりました」(伊達みきお)というほど、少ないようだが「存在感はありますので、注目してもらいたい」(富澤たけし)とアピールした。

【写真】撮影中のカット

 2011年3月11日に発生した東日本大震災にちなんだ脚本を依頼され、「母が秋田、父が盛岡の出身で、自分は東北大学に通っていた。半分、“仙台人”」の内館氏がオリジナルストーリーを書き下ろした。

 宮城県南部の町、亘理のイチゴ農家の長男・谷川晃(千葉)は、震災が発生したあの日、東京の大学に進学するため、アパート探しなどで上京していたため難を逃れたが、弟、両親、祖父母、そして飼い犬は津波にのまれ、9年目の今も、まだ一人も見つかっていない。

 大学を卒業後、一旦東京で就職するも挫折し、今は仙台で暮らしている晃には、付き合って2年になる恋人の岡本美結(土村)がいるが、家族の事を考えると、どうしても、自分だけが幸せにはなれないと、結婚に踏み出せないでいた。そんなある日、晃と美結の前に一台のタクシーが現れる。農業の傍ら運転手をしていた祖父の車だった。そして、連れられて行った先では、愛しい人たちがあの日のままに暮らしていた…。

 内館氏は「私の周りにも震災で亡くなった方がいて、でもどこかで生きているような気がしてならない。こっちから見えないけど、あっちで元気にしているんじゃないか。そのあっち側を描けないか、と。本当に荒唐無稽な話だとわかっているんですけど、プロデューサーや監督がOKしてくださり、順調に動き出して本を作りました。ご覧のようにいいキャスティングに恵まれまして、本当に幸せに思います」と、あいさつした。

 先月27日にクランクインし、撮影中の千葉は「宮城県出身で、脚本いただいた時にすてきなお話だな、この役は誰にも取られたくないな、と思った思い入れのある作品です。一種のファンタジー部分がスッと入ってきて、心温まるストーリーだと思います。多くの方々に見ていただきたいな、と思います」と、話した。

 同局の一力敦彦代表取締役社長も同席する会見場の「予想以上に厳かな雰囲気」(千葉)にのまれてしまった土村が「すみません、吹っ飛んでしまいました」と、言葉に詰まってしまい、富澤が「ゆっくりでいいよ」と助け舟を出す一幕も。その後、吉岡も「吹っ飛んでしまいました、ゆっくりでいいですか?」と続き、富澤があいさつする時も「吹っ飛んでしまいました」といじって、会場をなごませた。

 気を取り直して土村は「この物語の中に『前に進むことと、風化は違う』という言葉が出てきて、自分自身はどっちなんだろう、と思った。自分もそうだったように、ドラマを見てくださった方にももう一度、あの頃に思いを馳せるきっかけになってくれたら」と、願った。

 吉岡は「僕自身にも生きる勇気をいただけるようなせりふが宝箱のように散りばめられていた」と、内館氏の脚本を絶賛。「建物はどんどんきれいになっていくけれど、心はどこか置いてけぼりになっている人もいるのかもしれないと思った時に、心がかき乱されてなんともいえない気持ちになりました。少しでも多くの人に見てもらって、生きてていいんだな、生きててよかったなという瞬間が訪れれば、みんなにとって幸せな作品になるんじゃないかなって思います」と、続けた。

 サンドウィッチマンの2人は、「非常にキーとなる役柄と言い聞かして撮影に臨んだ」(伊達)、「僕らの出番は本当にちょっと。役作りが固まる前に終わってしまいました」(富澤)と冗談めかしつつも、「こういうドラマに出させていただけるのはすごく光栄」(伊達)。

 物語への共感度も高く、「主人公の晃の境遇、感情に近い人って結構いると思う。そういう気持ちの人がいるんだっていうのは、全国の人に知ってもらいたい」(富澤)。「僕の友達にも同じような境遇の人がいまして、そういう人たちが見て前を向けるきっかけになるような素晴らしいドラマだと思います」(伊達)と、話した。

 それだけに、自分たちの出演が「ちょっと邪魔してしまっている可能性がある」(伊達)と不安も漏らし、「最悪なくてもいいくらい。僕らのシーンがカットされてても受け入れます」(伊達)と異例の申し出で、笑いを誘っていた。

 同ドラマにはほかに、不破万作、白川和子、マキタスポーツ、笛木優子、細田佳央太、土居志央梨、石田法嗣らが出演する。