テレビ朝日系で放送中の土曜ナイトドラマ『べしゃり暮らし』(毎週土曜 後11:15~深0:05)。人を笑わせることが大好きで、笑わせるためなら命がけで何でもやる“学園の爆笑王”こと上妻圭右(間宮祥太朗)と、高校生ながら元プロ芸人の辻本潤(渡辺大知)の成長と奮闘を描く青春ドラマは、第6回(8月31日放送)で衝撃の展開を見せた。キーパーソンとなった藤川役の尾上寛之が、超過酷だった撮影の裏話を明かしている。

【メイキング写真】過酷な撮影の中笑顔を見せる尾上寛之

 主人公コンビ・圭右&辻本に大きな影響を与えるのが、お笑いコンビ・デジタルきんぎょの金本と藤川。ドラマでは、駿河太郎と尾上が、本物の漫才コンビさながらのネタを演じて、大きな話題を呼んでいた。

 ピン芸人として妻の悪口をネタにし、息子にはひどく嫌がられていた藤川。しかしNMC(ニッポン漫才クラシック)の準決勝では、一時は口さえきかなかった相方・金本と心をひとつにして会心の出来栄え。息子からも「お父ちゃん、ごっつおもろいな」と他の何ものにも代えがたい言葉をもらい、コンビ結成から苦節15年、念願の決勝への切符も手に入れた。

 父親としても芸人としても幸せの絶頂のなか、ひとり祝杯をあげていた藤川は酔いに任せて服を脱ぎすて、パンツ一枚でしんしんと雪の降る屋外へ。人通りのない階段に腰かけ、眠りに落ちたのが第5話のラスト。続く第6話冒頭では、翌朝、藤川が遺体で発見されるという悲劇が…。

 実は本シーン撮影のために、尾上はなんと3時間ものあいだ、ロケ現場の階段から動くことができず、冷える夜気の中で肌をさらしながら、ひたすら同じ姿勢を保ち続けていたのだ。通常ならとても耐えられない状況だが、心配したスタッフらが声をかけるたびに、尾上は「大丈夫です」と笑顔で答えていたという。そんな彼の情熱の甲斐あって、藤川の体に雪が降り積もるシーンは静けさと美しさを帯びながら、悲哀に満ちた見事な仕上がりに。

 さらに第6話では、相方・藤川の訃報を受けた金本が、遺体との短い対面を果たした直後、「いつも通り自分たちの仕事をしたい」と、ラジオでレギュラー番組の生放送を行った。途中までは何事もなかったかのように番組を進めていくが、藤川が死の直前に送ってきた「ぜったいお前を笑わせたる」というメールを思い出して激しい感情が湧き上がり、ついに涙を流してしまう。「言うべきことは、言えるときに伝えなければ…相手が死んでからでは遅い」と、後悔の念を覚えつつ、藤川に抱いていた思いの丈をマイクにぶつけた。

 「死んでどないすんねん!」、「俺を笑わせろや!」と怒鳴りながらも、いかに相方をすごいと思っていたかをたっぷりと話し、「誇りに思てたのは俺の方や。そんな才能を持ってるお前が相方でいてくれることが、俺の誇りやってん!」と、亡き藤川に語りかける様は、涙なしでは見られないシーンとなった。

 この金本の長ぜりふは撮影中の霊安室でも流されていて、駿河の真に迫った声と言葉を聞いた尾上が、遺体役であるにもかかわらず、感極まって涙を流していたという秘話も。

■次回、第7話から圭右&辻本が新たなステージへ

 一方、「関西弁を使うな! そうすれば、お前はもっと面白くなる」という内容の忠告を、以前、藤川から受けていた圭右。それが期せずして藤川の遺言になってしまった。辻本からも同じことを言われ、コンビでの衝突や葛藤を経ながらも、第6話終盤で、圭右は「藤川さんに言われたから」と、関西弁の封印を誓う。

 こうして藤川から芸人魂を受け継いだ圭右は、辻本と共にお笑い養成所YCA(ヨシムラコミックアカデミー)に進学してお笑いを基礎から学ぶことを決断し、第6話は終了した。そして、次回第7話からは新展開。舞台をYCAに移し、圭右&辻本コンビの活躍をたっぷりと描いていく。新たな目標を得て、一癖も二癖もある若き笑いの猛者たちとしのぎを削っていく2人は、コンビ名を本作タイトルでもある「べしゃり暮らし」に改名。

 そこに、子安(矢本悠馬)も含め、トリオで笑いの新境地に挑んでいく。圭右が、自称“学園の爆笑王”だったのはもはや過去の話。それよりはるか高くそびえる、本物の笑いを目の当たりにしてきた圭右は、その高みを這い上がるべく厳しい戦いを始める。