昨年の『M-1グランプリ2018』で優勝し、一気に大ブレイクしたお笑い芸人・霜降り明星。東京と大阪を股にかけ、多数のテレビ番組や劇場に出演している超売れっ子の2人が、金曜深夜3時から生放送のラジオ『霜降り明星のオールナイトニッポン0(ZERO)』(ニッポン放送)で、2時間たっぷり語り尽くし、暴れまわっている。番組が終わる頃には外も明るくなるほど深い時間の番組にも関わらず、リアルタイムのリスナーが多く、若いお笑いファンから彼らの親世代のラジオファンまで、多くの人から人気を獲得しているが、その魅力はどこにあるのか。ニッポン放送の生放送中のブースを訪れ、その舞台裏をリアルタイムにのぞいてみた。

【個別ショット】本番前のスタジオで撮影に応じた粗品とせいや

 この日は大阪での番組収録を終え、新幹線の終電で帰京した2人は、それぞれが一旦帰宅し、番組開始の約1時間半前に直接ブースに入った。いまや日本でもトップクラスに多忙なコンビとあって、やや疲れた表情を浮かべ眠気を感じさせていたが、スタッフとこの日の進行を確認すると、徐々に本番に向けて準備を進めていった。

 番組開始まで残り数分、直前に放送されている『三四郎のオールナイトニッポン』(深1:00)のエンディングテーマが流れる。競馬のレギュラー番組の予想のため競馬新聞を読んでいた粗品が、その新聞を脇に置き、ブースの外にいたせいやがドアを開けて中に入る。程よい緊張感と疲労感を漂わせながら、超人気コンビの自然体のトークと無邪気に笑うコーナーが繰り広げられるラジオがスタートする。

 このラジオを聞いて気づくのは、楽しそうにお互いのトークにツッコミを入れる2人の仲の良さ。出演者も情報量も多いテレビでは感じられない、2人だけだから作り上げられる絶妙なコンビネーションが、2時間にわたって楽しむことができる。そして、人気ゲーム『ポケモン』をはじめ、漫画『NARUTO』『遊戯王』『カイジ』など“世代間”たっぷりのキーワードが次々と飛び出す。パーソナリティー全員が40代以上のTBSラジオ『JUNK』とは明らかに異なるこのノリが、新規のラジオリスナーを獲得しているのだろう。

 また、ラジオ番組でありながらラジオの枠にとらわれないのも、この番組の特徴だ。動画配信サービス「ミックスチャンネル」で生放送のスタジオの模様を同時映像ライブ配信しており、最近ファッションに目覚めたせいやの私服イジりなど、ビジュアルや動きもネタにしている。通常のラジオでは「すべてを音声で伝える」のが大前提だったが、そんな常識を取っ払って時代に合わせたツールを使いこなすのも、最年少でM-1グランプリを優勝した彼ららしい。

 番組前半は2人が1週間の出来事を振り返るフリートークが中心で、初めて出演した番組、初めて会った人、初めて経験したことなどをフレッシュに語り合っていく。現在進行系でスターへの階段を駆け上がっている霜降り明星の成長の過程を、リアルタイムで楽しめることが、この番組の最大の楽しみだろう。『オールナイトニッポン』木曜パーソナリティーの岡村隆史(ナインティナイン)、土曜パーソナリティーのオードリーら先輩芸人も人気芸人になっていく過程で味わった喜び、悲しみ、怒りを番組で思いのままに語ってきた。霜降りの2人にも、これからの芸能界で感じたことをストレートに語っていくことを期待したい。

 番組後半は、せいやのモノマネが冴える自由度の高い「霜降り交遊録」、今年4月のTBS系『オールスター感謝祭』で“ピリオド・チャンピオン”に輝いた粗品がさまざまな分野のチャンピオンを発表する「ピリオド・チャンピオン」、霜降りの漫才らしくボケとツッコミをセットにした「野党!」などのネタコーナーを展開。1人がネタを読み、もう1人がリスナーのように無邪気に笑いながらツッコミを入れる。そんなナチュラルなやりとりが聞けるのも、この番組の醍醐味のひとつだ。

 そして、番組終盤には現在のラジオ界でもっとも異彩を放つコーナー「ポケットいっぱいの秘密♪」が待ち構える。このコーナーは、魅力を文字で伝えるのが不可能なほどの異次元の領域に突入。外も明るくなってきた午前5時直前に何が起きているのか、それを確かめるためだけでも番組を聞く価値はある…。

 「ポケひみ」を終えたころには、番組もいよいよエンディング。ノンストップの2時間を駆け抜けた2人は、充実感と疲労感を携えたままニッポン放送のスタジオを飛び出し、早くも土曜日の仕事の現場へと出発する。まさに分刻みで動く売れっ子の2時間を毎週楽しめるこの番組、お笑いファン&ラジオファン以外だけではなく霜降り明星と同世代の人にもぜひチェックしてもらいたい。