SEKAI NO OWARIが8月25日、三重県・サンアリーナで全国ツアー『SEKAI NO OWARI TOUR 2019「The Colors」』(13ヶ所28公演)のファイナルを迎え、4ヶ月半でトータル28万人を動員した自身最長&最大となるツアーに幕を下ろした。

【ライブ写真】DJ LOVEがDr. LOVEに!? 各ソロショットも(計24枚)

 2月末に対(つい)となるオリジナルアルバム『Eye』『Lip』を2枚同時リリースし、4月6日から始まったツアー『The Colors』。折り返しを過ぎた17公演目、6月22日に行われたさいたまスーパーアリーナ2日目公演のライブを観た。

 前夜(6月21日)の公演終盤、ボーカルのFukaseがメインステージとサブステージをつなぐ花道から転落するアクシデントがあったものの、この日の公演前にはFukaseが自身のインスタグラムを更新。病院で検査を受けた結果、異常がなかったことを自ら報告してファンを安心させてからの開演となった。

 センターステージを四方囲ったスクリーンにオープニング映像がうつしだされると、メンバー4人は半透明のスクリーンの中から登場。DJ LOVEがドラムを叩き、重低音の効いたアレンジの「Death Disco」からスタートした。歓声が轟くなか、Fukaseは檻にも見えるスクリーンの中を歩き回ったり、飛びついたり、飛び跳ねたり。「君は何を信じてる?」「クエスチョン」と何度も投げかける。

 “檻”は天井まで吊り上げられ、正面から見ると巨大な横長スクリーンと化した。メンバーは花道をゆっくり歩いて巨大なシャンデリアが存在感を放つメインステージへと向かい、2曲目の「Witch」へ。Fukaseが狂気に満ちた表情で「面白い事言うねぇ」と皮肉たっぷりに返す歌詞が印象的だ。

 続いてSaoriが奏でるピアノの美しい旋律で大歓声があがった「眠り姫」ではムードが一変。ピアノ越しにSaoriと向き合ったFukaseは優しい歌声を響かせ、にっこりと少年のような笑みを浮かべる。「Food」では軽快なステップでダンスも披露するなど、振り幅の大きさでもファンを熱狂させた。

 MCで満員の観客を見渡したNakajinは「今回のさいたま2日目、なんと47都道府県からお客さんが集まっています。感無量です。全国制覇感あるよね。ライブを観るために遠くまでいらしてくれる熱量が伝わってきています」と喜びをかみしめる。

 開演から1時間15分ほどが経ったころ、MCの番が回ってきたFukaseは、前日の公演で転落したことを自ら切り出すと笑いながら、「すげぇ、びっくりした。そこが事件現場ですよ」と指をさしつつ報告。Nakajinが「こっちがびっくりしましたよ」とツッコミを入れると、「ご心配をおかけしました。見てのとおり、大丈夫です」と強調してファンを安心させ、「ツアーで落っこちたのは初めてだったね」とおどけた。

■Saoriの妊娠・出産を経て生まれた変化

 前作『Tree』(2015年1月発売)から2枚の最新アルバムリリースまでの4年の間にメンバーは全員30代となり、劇的な変化もあった。4人のうち3人が結婚し、紅一点のSaoriは2017年末に第1子を出産。Nakajinも今春第1子が誕生し、DJ LOVEもまもなく父親になろうとしていた(ツアー終了後の8月28日、第1子誕生を発表)。

 Saoriは「去年1年間ずっとレコーディングしていたんですけど、その間私は0歳児を育てながら2枚のアルバムを作っていて。ママとしての自分とミュージシャンとしての自分のバランスがすごく難しくて、ステージに上がるのがつらいなぁと思う日も去年はあって。なかなかバランスが取れない日がいっぱいあったんです」と正直に打ち明けた。

 続けて、「子どもができると、だんだん心が離れていっちゃうんじゃないかなと、出産する前は思っていたんです。でも、メンバーは私の妊娠、出産をお互いを知り合う機会にしてくれて、いろんな話をしてすごくサポートしてもらえて。こういうふうにチームで支え合ってやっていける形もあるんだなと教えてもらったので、これから3人に恩返ししていきたいなって思います」とメンバーに感謝の気持ちを伝えた。

 Fukaseも自身の中で変化が生まれたという。「4年前にアルバム『Tree』を出して、日産スタジアムという日本で1番大きなステージでやったからこそ、次にどこに向かえばいいのかというのを、考えて、考えて…という4年間でした」という言葉に続けて、「昔はロボットとのラブソングばかり書いていた僕ですけど、ちょっと体温のあるような曲ができました」と紹介すると、センターステージで向かい合ったNakajinのウッドベース1本で正統派のラブソング「エデン」を優しく歌い、観客はじっくりと聴き入っていた。

■Fukaseの苦悩曲がハイライトに「主役になれるなんて思ってなかった」

 本編のクライマックス「スターライトパレード」を終えた後、その興奮冷めやらぬ場内は、恒例となった同曲のサビの大合唱でアンコールが始まった。上手側からNakajinと肩から小太鼓を下げたDJ LOVE、下手側からFukaseとアコーディオンを抱えたSaoriがアリーナを練り歩き、時折観客とハイタッチしながら「Dragon Night」で沸かせると、Fukaseは「何回やってもアンコールはうれしいものです。いつの日からか、『スターライトパレード』を歌ってもらえるようになって」と感謝した。

 観客をバックに記念撮影後、Fukaseは「次の曲はもともとセットリストには入ってなかったんです。ここ数回の公演でセットリストに入れて」と語り始めた。

 Nakajinが作曲し、Fukaseが歌詞をつけたが、「歌詞の内容がテレビやラジオでは流しにくいからあまり世の中に浸透しないかもしれない、書き直したほうがいろんな人にFukaseの伝えたいことが伝わるかもしれないって言われて。Nakajinが作ったメロディーが人に聞かれないのはもったいないと思って、メンバーに『歌詞を書き直すよ』って話をしたら、『書き直す必要ないよ』って言ってくれたんです。俺は本当に良いメンバーを持ったなぁと思って」と制作経緯を明かした。

 「今でも大好きな曲で、ライブで「この曲がよかった」と言ってもらえるなんて思ってなかったのに、そんなふうに言ってもらえて本当にうれしいなと思っています」と伝えると、「銀河街の悪夢」の熱演に観客は息をのみ、会場は割れんばかりの拍手に包まれた。

■余韻広がる会場にFukaseが残したメッセージ

 ライブ全体を通してSEKAI NO OWARIの代名詞でもあった「ファンタジー」からは“脱皮”した感がある。人間の本質を突いたダークさリアルさ、セットの無機質さもありながら、ポップさ、さらには人間味もあり、どこか大人の包み込むような優しさや愛、Fukaseの言葉を借りれば「体温」も伝わってくるステージだった。

 4人が横一列に並び立ち、ラストナンバーは「すべてが壊れた夜に」。Fukaseのボーカルと、Nakajin、Saori、DJ LOVEのコーラス、そしてオーディエンスのシンガロングで一体感を生み、締めくくりのハイトーンボイスの余韻広がる会場にFukaseは『WHAT A BEAUTIFUL WORLD』のメッセージを残した。

■『The Colors』さいたまスーパーアリーナ2日目セットリスト
01. Death Disco
02. Witch
03. 眠り姫
04. Monsoon Night
05. ドッペルゲンガー
06. Goodbye
07. Food
08. Mr.Heartache
09. illusion(アコースティック)
10. スターゲイザー
11. LOVE SONG
12. Missing
13. 蜜の月
14. Blue Flower
15. エデン
16. MAGIC
17. スターライトパレード
【アンコール】
18. Dragon Night
19. 銀河街の悪夢
20. すべてが壊れた夜に