今年5月1日にソロとしての活動をスタートさせた荒井麻珠が、8月21日、東京・渋谷duo MUSIC EXCHANGEで1stワンマンライブ『はじまりの場所』を開催した。

【写真】観客の声援に笑顔で答える荒井麻珠

 ライブに先駆けて配信されていた音源を中心に、未発表曲も惜しみなく披露されたこの日。まずはバンドマスターを務める佐藤真吾(P)、和田建一郎(G)、湯浅崇(B)、浜崎大地(Dr)という錚々たるミュージシャンがステージに現れ、オープニングのインストナンバーをプレイ。客電が消え麻珠が登場すると、フロアからは期待感を爆発させたような歓声が上がったが、アカペラで「薄暗くなった空が僕を包んでどうしようもない」を歌い出した瞬間、あんなにざわめいていたフロアが嘘のように静まり返った。<ソロとしての第一歩は、自分の声で始めたい>という彼女の強い思いが、音源でも、そしてこの初ワンマンでもしっかりと貫かれている。レコーディングでは「泣いてしまって歌えなかった」というくらい彼女の魂を震わせたこの曲を、彼女は歌い手として、表現者として、まさに全身全霊を捧げるように歌い上げた。

「みなさん、楽しんでいきましょう!」
 2曲め「表参道~彼ん家」のキャッチーなイントロでようやく笑顔を見せた麻珠。アーティストとしての決心と覚悟を刻むように歌った先ほどまでとは一転、この日を待ってくれていたみんなの気持ちにありったけの愛で応えるように、フロアの隅々まで見渡しながら歌いかけている。数年ぶりのステージ、ソロ活動、初ワンマンなど過剰な期待感を煽る要素ばかりでスタートしたが、蓋を開けてみれば、誰よりも楽しみながら呼吸するように歌う麻珠がいた。いろんなことが一瞬で消え去っていくような清々しさ。正しい時間が動き始めたように思えた瞬間だった。

 衣装を着替えて登場した中盤では、女性ダンサーemix、ユキジと共にダンスも披露。自身が作曲にも参加した「Timing Clever」ではクールに、「アイスキャンディー」ではキュートにパフォーマンスを繰り広げ、視覚的にも楽しませてくれた。そもそもダンスは苦手だと言っていたが、こんなにも楽しそうに踊る姿を見ているとこっちまで嬉しくなってくる。新たな魅力にノックアウトされたオーディエンスからは、驚きと興奮を隠しきれない歓声が上がっていた。

「活動を始めて3ヶ月ちょっと。みなさんの言葉や存在に励まされ、救われ、すごく元気をもらっています。私自身、自分の楽曲だけど歌詞に救われたりもしている。みなさんはどういう気持ちで聴いてくれてるかな?これからもみなさんにとっての元気や日々の活力になるような歌を歌いたいと思っています」

 スツールに腰掛け、改めて集まってくれたみんなへの感謝を伝えると「一人ひとりに届けたいと思います」と言葉を添えて「おくりもの」という曲を披露。立ち止まることを恐れなくていい、遠回りしてきた道も掛け替えのない記憶になるよと歌われるこの曲は、作り手から歌い手へ、歌い手から聴き手へ、聴いた人がまたそれぞれの大切な人へと繋いでいく思いの絆が目に見えるような1曲だった。

 優しい気持ちで胸がいっぱいになるようなこのバラードから、次は抜け出せない深い闇の底から叫ぶように歌われた「rejection」。そこから再び衣装をチェンジして「私的革命」、「恋覿面TRICK」、「ENJOY!」という明度の高いナンバーへ。テンポよく大胆な展開が続いたこれらのゾーンでは、ボーカリストとしての圧倒的な表現力を痛感させられた。

 スキルの高さはもちろんだが、喜怒哀楽、自分の素直な感情ととことん向き合ってきたここ数年の人間的な成長があってこそだろう。「自分のキャリアの原点だから」と迷いなく選んだこのステージで、60分の全力投球。「はじまりの場所」で鳴り響いた拍手と歓声は、途切れることなくこの先への追い風となっていくはずだ。

 終演後のスクリーンでは、今冬に1stシングルが発売されること、初のツアー『荒井麻珠 東名阪LIVE TOUR 2020 Song! ~Alive~』の開催、そして9月1日からファンクラブが開設されることも発表された。オフィシャルHPやSNSをチェックしつつ、荒井麻珠のこれからをぜひ楽しみにしていてほしい。