コントや漫才で人々を笑わせることかはじまり、バラエティー番組やCM、ドラマ、映画、文筆業などさまざまなエンターテインメントシーンで活躍しているお笑い芸人たち。スターを夢見て、多くの若者たちがお笑いの道に進むが、成功する人はほんの一握りだ。

【写真】キャスト陣は原作漫画に近い見た目を実現

 そんな厳しい世界へと踏み出していく、高校生のコンビが奮闘する姿を描いているのが、テレビ朝日系で放送中の『べしゃり暮らし』(毎週土曜 後11:15※『熱闘甲子園』放送中は後11:45~)。“お笑い”や“芸人”の良いところを照らす、なんならちょっと映えるくらいの光を当てたドラマになっている。

 原作は、『ROOKIES』や『ろくでなしBLUES』などの青春漫画の金字塔となる作品を生み出してきた人気漫画家・森田まさのり氏の同名漫画。『ROOKIES』の後、2005年に最初は『週刊少年ジャンプ』(集英社)で連載を始まり、14年目の現在も物語は続いている。

 お笑いというジャンルは「絶対漫画にできないと言われて、一度は連載を断念せざるを得なかったこともあった」というが、執筆にあたっては、自ら吉本興業の芸人養成所であるNSCに入学して、お笑いの世界の内幕を実体験するなど、綿密な取材を行っていたことも知られている。

 森田氏は「あんなにドラマチックな芸人さんたちが漫画にできないわけがないと信じていました」とコメント。そういう漫画をドラマにできないわけがないと、映像化に挑んだのが、お笑いの道に進んで成功した者の一人、劇団ひとりだ。お笑い芸人としてはもちろん、小説家、映画監督としても知られているが、今回、連続ドラマの演出を初めて手掛けている。

 第1話・第2話を見る限り、原作漫画に忠実な絵作りを随所に見られ、漫才シーンでは実写化の醍醐味も。主人公・上妻圭右役の間宮祥太朗、相方となる辻本潤役の渡辺大知の漫才はもちろん、第2話で大阪府堺市堺区出身の小芝風花(辻本の元相方・鳥谷静代役)が披露した“ネイティブ”な関西弁による漫才も、SNSで話題になった。

 脚本を担当する徳永富彦氏のドラマで描くところと、描かないところの取捨選択で、“お笑い”という題材の純度も高まっている。第1話は、コミックス1巻と3巻、第2話はコミックス2巻をまとめ、原作漫画の中の“いいせりふ”はしっかり使われている。

 例えば、第1話の冒頭、人を笑わせることが大好きで、笑わせるためなら命がけで何でもやる“学園の爆笑王”こと圭右(間宮)が、校内放送で言う「笑いを制する奴が一番モテるっちゅーねん」というせりふ。お笑いの道を目指す人たちの多くがモチベーションにしていることではないだろうか。

 第2話では、うわさレベルで良く聞く、「人気の漫才コンビが実はすごく仲が悪い」といった話で、プロ漫才コンビ「デジタルきんぎょ」の金本(駿河太郎)が語る「コンビがぶつかる理由」も原作を丸っと採用。「妥協せんかわりに友情もいらん 笑いがすべてやねん」といい切れる芸人が目の前にいたら、やはり憧れる。金本にネタをダメ出しされた圭右に、相方の藤川(尾上寛之)が「努力できる天才持っとる奴が天才やねん」と叱咤激励する普遍的なメッセージもある。

 漫画作品の実写化ではキャスティングも重要だ。最近、アラサー俳優が高校生を演じることも珍しくない中、森田氏が描く高校生を実写化するには、むしろ26歳の間宮や、29歳の渡辺で丁度よかったのかもしれない。主役の2人が浮かないように、同級生役に、28歳の矢本悠馬(子安蒼太役)、29歳の長田成哉(竹若明浩役)を配役したのも悪くない。前田航基(梅垣望)が20歳というのは、弟とお笑いコンビ「まえだまえだ」を組んでいた頃から知っている者には、別の意味で感慨深いものがあるだろう。

 10日放送の第3話も、原作漫画に沿ったドラマチックな芸人たちの人間模様が描かれる。圭右(間宮)は、辻本(渡辺)との漫才が”楽しい”と実感し、本気で芸人を目指すことを決意。2人のコンビ・きそばAT(オートマティック)は、漫才の日本一を決めるコンテスト『NMC(ニッポン漫才クラシック)』にエントリーをする。

 NMCの予選当日、恐いもの知らずの圭右は余裕の表情で、調子に乗って緊張しまくる他の出場者を笑いとばす。そんな相方の態度に不安を覚え、辻本はたしなめるのだが、全く聞く耳を持たない。

 本番がはじまり、舞台に上がる2人。会場の空気は、文化祭の時とは全く違い、緊張感に満ちていた。客はくすりとも笑わず、さすがの圭右も焦りを感じる。そればかりか、とんでもない行動に出てしまい…!?

 ウケなかったことを客のせいにする圭右は、るのあーる・梵(浅香航大)と衝突し、辻本からも「漫才なめんな!」と、本気で怒られる。「お笑いって、つまんねーな」と子安(矢本悠馬)に言い残し、圭右は会場を去ってしまう…。

 圭右の失敗を知ったデジタルきんぎょ・金本(駿河)は、1枚のDVDを辻本に託し、圭右に見せるように言う。DVDには、人気漫才コンビ・デジタルきんぎょの、あまりに意外な過去の姿が収められていて…。辻本との険悪なムードを残したまま、圭右は漫才をあきらめてしまうのか…!?