来年40周年を迎える『ガンプラ』の魅力は、あらゆる妄想ストーリーを具現化できる点にある。そんな「ガンプラは自由」の精神を謳歌するモデラー・まーてる氏(@warewareha2018)と、あわくし氏(@awaxy)にジオラマの醍醐味について聞いた。

【写真】カミーユに殴られ、レコアに見限られた“情けないシャア”を立体化

■「バブみ」を公言した、人間・シャアの愛すべき“人間臭さ”(まーてる)

 クワトロ大尉(シャア・アズナブル)をメインに据え、ジオラマ作品『アウドムラの格納庫』を制作したまーてる氏。そのテーマを聞くと「カラバで戦う事で己を取り戻しゆくアムロと、その姿に心揺さぶられるシャア。いまだに迷いを捨てきれないシャアが、かつてのライバル・アムロが駆るディジェをサングラス越しに見つめる…そんなシーンを妄想しました」とコメント。背景となる格納庫や部屋の小物などは、Zガンダム放送当時のニュアンスを感じられるように作ったとのこと。

 シャアがディジェを背景に、物思いにふける姿が印象的な本ジオラマ。シャアといえば凛々しい立ち姿をイメージする人も多いが、「肩の力を抜いて何かの思いにふける『素』の部分を表現しました」と、まーてる氏は同作に込めた想いを語ってくれた。

 『ガンダム』の世界において1、2を争うシャア・アズナブルの魅力については、「不意に見せる人間・シャアの人としての弱さや繊細さ」だと力説。続けて、「カミーユに殴られ涙するシーンも印象的ですし、映画『逆襲のシャア』では『ララァ・スンは私の母になってくれたかもしれなかった女性だ!』とぶっちゃけたり、一般的なヒーロー像とはかけ離れたキャラですよね。ララァへの想いは“バブみ”(年下女性に求める母性)とネタ化されてイジられてもいます。そんな、ヒーロー然としていない人間臭い部分を感じられる所が魅力」と、“シャア愛”をアピールしてくれた。

 ジオラマ制作のこだわりについては、「いつ」「どこで」「なにを」を一目でしっかり伝える事が大事だと強調。これは基本であると同時に真髄でもあり、そこさえ意識すれば技術や手法は後からついてくるのだという。また、作品の中に『隠し物語』をちりばめることで、作品をじっと覗きこんでもらえるような工夫もしていると語った。

■静止したジオラマの世界で、“時間の経過”を表現(あわくし)

 ザクを豪快に両断する陸戦型ガンダムのジオラマについて、あわくし氏にテーマを聞いた。

 「作品名は『斬撃』です。巨大なビームサーベルを振り回し、周囲のすべてのモノを斬る豪快さを表現しました」と明快な回答。3体のモビルスーツが織りなす構図も魅力だが、「大きなビームサーベルを振り回した時、斬撃の軌跡が見えるようなジオラマ構成をこだわりました」と説明してくれた。

 「ザク2体だけでなく監視塔もブった斬ることで、斬撃が広範囲に及んでいることを表現しています。陸戦型ガンダムから見て左側から右側へ振り抜いており、左のオブジェクトのほうが時間的に先に斬られているということで、より大きくズラしています。ジオラマは止まっていますが、時間の流れが見えたら嬉しいですね」(あわくし)

 斬撃をテーマとしているように、ジオラマでは“破壊”描写は醍醐味のひとつ。あわくし氏は、幼少の頃からプラモデルの“破壊描写”に魅せられたのだという。

 「子どもの頃は、ろうそくの火や線香でプラスチックをあぶるとダメージっぽくなって楽しかったですね。楽しくてついついやり過ぎてしまうのですが」と、笑顔で振り返った。続けて、「今は当時と比べて塗料やマテリアルが豊富ですし、ネットで色んな技法を知ることが出来るため幅広い表現ができます。状況に合った技術を選べてより楽しいですね」と、今なお続くモデラーとしての“探求心”を教えてくれた。

 ロボットの“破壊表現”に惹かれる理由を聞くと、「破壊されることによって“メカ感”を強調できるところ」だと解説。また、どう壊れているか?に“物語を込められる”ところもジオラマの魅力だと語った。

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