『腐女子、うっかりゲイに告(コク)る。』(NHK総合)が、19年4月クールの“最も質の高いドラマ”を表彰する『第16回コンフィデンスアワード・ドラマ賞』で、助演女優賞(藤野涼子)、新人賞(金子大地)、脚本賞(三浦直之氏)を受賞。作品として最多3冠獲得となった。

■みずみずしい演技でヒロインを体現した藤野涼子

 ゲイの男子高校生の苦悩を描いた同作で、ボーイズラブ(BL)にハマる“腐女子”の女子高生・三浦紗枝を好演した藤野。助演女優賞受賞について、「とても繊細な内容の作品なので、どうしたら伝えたい事が表現できるのか何度もリハーサルを重ねて、三浦さんの感情を丁寧に探っていきました」と今作での役作りを語っている。

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 BLに熱中し、我を忘れる様子や純に対してだんだんと思いを募らせていく心のそわそわ、勇気を振り絞った告白が実りうれしそうにする笑顔、純がゲイであることを知った瞬間の浮足立った表情など、藤野はその時々で移り変わっていく紗枝の状況、心情をみずみずしい演技で体現し、物語の展開をリードした。

 そんな助演としての役割をまっとうした藤野に対して、審査員からは「素晴らしくリアリティのある演技で腐女子感を出していて、彼女なしにはこのドラマは成立しなかったのではないかとさえ思う」(岡室美奈子氏)との評価の声が多く挙がった。

■大きなチャンスにやり甲斐を感じていた金子大地

 金子は、NHKドラマ初主演作で新人賞受賞。自身がゲイであることを周囲に隠して生活する高校3年生・安藤純役で、既婚の年上男性・佐々木誠(谷原章介)と恋人関係にありながらも、「異性を愛し、子どもを作って、家庭を築く」という“普通の幸せ”への強い憧れも持ち、ひとり葛藤するというデリケートな役どころを好演した。

 金子は、内向的で欲望にも正直な主人公の心の機微を所作や目線、声色で丁寧に再現。審査員からは「思春期の高校生のピュアな感情をよく引き出していた」(赤塚佳彦氏)、「彼の醸し出す大きな絶望と、かすかに見せる希望が作品の世界観を体現していた」(木村隆志氏)と高く評価された。

 今回の受賞について金子は、「難しい題材なので不安もありましたが、大きなチャンスでもあり、やり甲斐を感じました。役をどう演じるかよりも、作品を観た方がどのように思うのか、そしてどう届けたらいいのか、ということを話し合いながら進めていきました」と新たな挑戦について語っている。

■“青春もの”に定評がある三浦直之氏、全話脚本への初挑戦で受賞

 脚本賞を受賞した三浦直之氏は今作が連ドラの全話脚本への初挑戦。10周年を迎えた主宰劇団・ロロを中心に、オリジナルの演劇作品の脚本・演出を手がける若手の注目株であり、“青春もの”に定評がある。今作では、自身がゲイであることをひた隠しに生きる高校生の主人公・安藤と、腐女子の同級生・三浦が繰り広げる純粋でねじくれた青春群像劇を、映像作品として見事に成立させた。

 そんな今作での受賞に三浦は「やはり浅原ナオトさんの原作小説の持つ力が大きいからだと思っています」としながら、「ゲイの純くんについては原作に忠実に。それ以外の登場人物については、オリジナルの要素を加えることで青春群像劇というイメージを強めていきました」と今回の構成作りを振り返った。