映画『舟を編む』(2013年)で第37回日本アカデミー賞の最優秀作品賞を含む6部門を受賞し、史上最年少で最優秀監督賞を受賞した石井裕也監督(36)が31日、都内で行われた映画『町田くんの世界』ティーチインイベントに池松壮亮(29)と仲野太賀(26)と共に登壇。映画界の現状に、本音をぶつけあった。

【写真】石井裕也監督、仲野太賀と本音で語り合った池松壮亮

 石井監督は現在新作映画のキャスティング最中であることを明かし「若い人がなかなかいないんですよ。映画っていうものが期待されていないメディア。ここの2人は天才ですけど、背負わなければいけないものも大きいと思う」と現状を危惧。

 池松は「みんなでやんわりと(映画の)価値を落としていっている。いまだに映画を観に来てくださる方には感謝です。何とかしなきゃいけないとは思っているところですが、悪化していくのは間違いないかな…」と石井監督の意見に同調した。

 続けて石井監督は「何か息苦しさを感じている世の中だと思うんですよね。何か縛られている。制作側もそうなっていく危機感があるのは事実で、脚本などで少しでも妥協した場合、肉体で具現化してくれるキャストにしわ寄せが行ってしまう。何とか踏ん張ろうとは思っています」と映画作りで様々な事情が絡んでいることを打ち明けた。

 さらに“映画”というものについて仲野は「誰かの人生を追体験できるのは楽しみです。そこにお客さんとの共感が生まれて、映画を観る前と後で何かが変わればいいなと。そういう目で観ることで救われたことが何回もあって、それが映画の楽しみのひとつですね」と語った。石井監督も「幼稚園のお遊戯会でもお芝居をしている。誰かの立場になるというのは、教育としても良いと思う」と話していた。

 同映画の原作は、安藤ゆき氏による漫画作品で、『別冊マーガレット』(集英社)に15年4月号から18年5月号まで連載された。主演は1000人超えのオーディションを勝ち抜いた、演技経験ゼロの細田佳央太と関水渚。脇を固めるのは池松、仲野のほか、高畑充希、前田敦子、岩田剛典、戸田恵梨香、佐藤浩市、北村有起哉、松嶋菜々子ら、主役級のキャストがそろっている。物語は、アナログ気質で超不器用、勉強も運動も大の苦手だが、困った人がいると見過ごせない、一風変わった真面目一直線の高校生・町田一(細田)の破天荒な日常や、ヒロイン・猪原奈々(関水)との恋を描く。