独自のブロックチェーン技術を用いたIoTプラットフォームサービス「Jasmy IoTプラットフォーム」を手がけるジャスミーが7月27日、学生から企業人までを対象に、開発者を支援するIoTサービス共創コミュニティ「Jasmy League」の第1弾イベントとして、“IoTサービスアイデア創出ワークショップ”「Jasmy IDEATHON vol.01」を開催した。

【動画】スプツニ子!も登壇「Jasmy League」発表会見の模様

■第1回イベントは「学び」をテーマにした体験型学習コンテンツに

 ジャスミーが推進する「Jasmy IoTプラットフォーム」では「個人データ」を、GAFAに代表される巨大IT企業から、本来の持つべき個人の手に戻し、データの主権を取り戻すことで、「データの民主化」を実現することを基本思想とし、データ運用を独自の発想と最新のブロックチェーン技術を用いて開発したプラットフォーム。企業も個人も個々のデータを公正に、透明性をもって安全に利用することを目的としている。

 さらに、「基本コンセプト」として掲げているのは、(1)世界の経済活動に貢献できるIoTプラットフォームベンダーとしての役割を果たすこと、(2)「すぐに使えるIoT」のスローガンのもと、IoT化に対するモジュール提供会社としての役割を果たすこと、(3)独自のブロックチェーン技術で構築される安心安全なプラットフォームにより、個人のデータを再び本来の持つべき個人の手元に戻し、セキュアな状態で分散管理する「データの民主化」に貢献する会社として役割を果たすこと、の3点となる。

 第1弾イベントとして開催されたアイデアソン、「Jasmy IDEATHON vol.01」は、「学び」をテーマにした体験型学習コンテンツとなり、ジャスミーの理念である「データの民主化」とは何かを学びながら、ビジネスアイデアを描くアイデアソンを実施。今後は、現在ビジネスアイデアをオンライン募集している「Jasmy Idea Award」でも、こうしたイベントから生まれたアイデアを含め、優秀者をオンライン表彰するという。

■第四次産業革命のカギは“データ”、いかに個人が安全にデータを使えるか

 イベント冒頭では、さっそく参加者たちによるテーブルディスカッションも行われ、「データの民主化」について議論。企業が管理した場合のデメリットや、個人が管理することでのメリットなど、意見が交わされた。

 続いて、インプットセミナーとして、ジャスミー株式会社 代表取締役社長・佐藤一雅氏が登壇。「データの民主化」という概念の解説や、「Jasmy IoTプラットフォーム」について、改めて説明がなされた。

 ここで佐藤氏は、「我々はプラットフォームを作ろうとしているが、1つのことをやっていても世の中は変わらない。このプラットフォームを皆さんに使ってもらう必要があります。今日、アイデアソンを開催した意味もここにあります。私はソニー時代、入社間もない22歳の若造だったにもかかわらず、“ソニーを超えたい”と語っていました。そんな人が1万人以上いたからこそ、プレイステーションが生まれ、vaioが生まれた。天才の登場を待つより、みんなで考えていきたい」と、今回の開催の意義を語り、ネットワークビジネスの重要性を説きながら、「自らが明るい未来を創るんだ、という強い想いを持ってほしい」と参加者たちに熱く語った。

 このほかにも、「データの時代」をテーマに、「AIの成長には個人のデータの蓄積が必要。つまり生活情報がAIの成長につながります。つまり、未来の成長のためには生活自体を変えることが重要。データによって生活を変え、経済を成長させていくのが第四次産業革命。そこで考えるべきは政府がデータを守るのか、データを個人が安全に使っていけるか、です」と説明。さらに、「データの民主化を進めるとしたら、IoTがカギ。そして個人が“安全”にデータを使えることが大切になる」と語り、“個人でデータを持つ”ことの重要性が解説された。

 最後に「相転移」をキーワードとして提示し「大手IT企業がデータを独占している状態から今後、相転移していく。我々はそういう時代にいるんだということを意識し、どんな小さなアイデアでも良いから考えていきましょう」と参加者に呼びかけた。

■非中央集権的に我々個人でデータをもつことで課題解決に

 パネルディスカッションでは、岸上順一氏(室蘭工業大学大学院教授/W3Cボードメンバー)、長谷川愛氏(現代美術家/デザイナー/東京大学特任研究員)のゲスト2名と、佐藤氏が登壇。「データの民主化」について、いかにセキュアに運用していくのか、という点については、例えば個人の遺伝情報が保険会社に適用されると、そのゲノム情報から保険に入ることが断られるケースも懸念されるなど、運用次第では、差別につながる危険性もあるという指摘や、個人データという点では、個人認証においても、“なりすまし”の可能性も挙げられた。これらの問題については、中央集権的にデータを持つことで情報漏洩が生まれるわけで、ブロックチェーン技術による非中央集権的に我々個人でデータをもつことで、解決できる部分も語られた。

 岸上氏は、「“なりすまし”など、個人データの信頼性においては、“レピュテーション=評判”がカギになる」と指摘。個人のレピュテーションを上げ、証明していくためにもブロックチェーン技術を活用し、「周りからの評判や信頼が、なりすましを排除し、個人の信用を上げていく。それがセキュアなデータ管理につながっていく」と語った。

 佐藤氏は、「個人情報をいかに守るのかということは、民主化と相反する部分もあるが、そこは議論していくしかない。ただ、大きな話だけでなく、小さなところからまずは先を走っていくことも重要だと考えている」と語り、同社の姿勢としては、議論からは逃げないが、まずは先を走っていくとの展望が示された。

 最後に、登壇した3者から今回の参加者たちに向けて、
「自分が使ってみたいIoTやそこから得られるデータなど、小さなところからでもアイデアを出し、先へと考えを広げてほしいと思う」(佐藤氏)
「できない理由を考えるのではく、面白そうだな、ということから考え始めてほしい。そこからこそ楽しいアイデアが生まれます」(岸上氏)
「私はまず妄想します。どうなったら楽しいのかを妄想し、そこから、こんなファンタジーが起きれば解決すると考え、リサーチを始めます。妄想し、次にどうするかまでアイデアが転がれば良いと思います」(長谷川氏)
といったアドバイスも送られた。

■アイデアのポイントは「IoT × ブロックチェーン×データデモクラシー」

 メインイベントとなるアイデアソンは、ファシリテーターに矢吹博和氏(株式会社HackCamp取締役副社長)を迎え、「IoT × ブロックチェーン×データデモクラシーを体現するサービスアイデアを考えよう!」をテーマに開催。

 序盤ではマンダラートを使い、それぞれが日常生活のなかで生じるデータを掘り下げ、そこから参加者ペアで派生データなどを共有。その後、作成したマンダラートをヒントにしながら、アイデア出し。それらアイデアを、個人ワークとグループディスカッションで、それぞれのブラッシュアップしていった。この日は学生から社会人など幅広い参加者が集っただけに、健康や食事、移動や老化、恋愛、日常会話など、実に様々な視点からアイデアが出され、それぞれ自らのアイデアをブラッシュアップさせていた。

 IoTやブロックチェーン技術、個人の日常から得られるデータなど、この場に臨んだことで改めて気づきを得たり、考えるきっかけを得た参加者も多かったようで、別の参加者のアイデアに驚いたり、深く頷くなど、刺激の多いディスカッションとなったようだ。最後は全参加者が自らのアイデアスケッチを制作。自らのアイデアが少しずつ形になっていく過程を楽しむ姿も印象的だった。

■“アイデアスケッチ”で可視化、さっそく斬新なアイデアも

 完成したアイデアスケッチをテーブルに並べ、全参加者たちによる投票を実施。評価の高かったアイデアには、「自宅と提携された店舗のトイレをすべてIoT化させ、自分の排泄物データを管理」「マグロの回遊データから流通データ、さらに包丁をIoT化し、調理もデータ化」「人に言いたくない生理データを民主化して共有することで支え合える社会に」「車椅子の人にも優しい段差のないルートをデータ化」「言葉や感情をデータ化し、“叱り方”を教えてくれるIoT」「会話をスコア化してコミュニケーションを円滑に」などがあった。

 長谷川氏は、「ウンチや生理などの健康データ、特に人にはい言たくないデータを共有する、という視点はあるとも思う」と評価。また、岸上氏は「人の優しさを表現し、活用するという視点が共通していて、その点が面白い」と講評。

 さらに佐藤氏は、「どれも発展性がある点がとても評価できます。例えば自分の健康管理などは、人には言いたくない、自分では知りたくないけど知りたい…というものでもある、そこをどう解決するかという点でも発展性を感じました。さらに、民主化という視点では、今回のアイデアからも感じたことですが、情報を共有化していくためには、かつて、ピクトグラムが前回の東京オリンピックのときに日本から世界に発信されたように、データを民主化させていくという点と、そのデータをどう見せていくか、という“データの見せ方”の重要性も感じました」と語った。

 佐藤氏はなかでも「叱り方」や「会話のスコア化」に関するアイデアについて、「それぞれのベストアンサーをどう探していくのかというアイデアから、どうやってそれぞれの気持ちをさらけ出していくのか、まで広げていくことで、コミュニケーションや、社会そのものをつくり変えていくところまで発展していけるものになるとも感じました」と評価した。

 最後に佐藤氏は、「今日が始まりだと思っています。ここから新しいアイデアやプロジェクトが始まっていきます。今後もこういう場やコミュニケーションを継続していきたいと思っています」と語り、アイデアソンを締めくくった。

 イノベーションを目指そうとする開発者を支援する共創コミュニティ「Jasmy League」では、今回のアイデアソンの次のステップとして、オンライン上でビジネスアイデアを応募できる「Jasmy IDEA Award」というアイデアコンテストを開催。これは、未来のデータ社会のビジネスモデルを描くアイデアコンテストとなり、優秀なアイデアには賞金と、審査員からポータルサイト上でのフィードバックコメントを掲載する予定。

 なお、「Jasmy IDEA Award」への応募には「エントリーシート」「リーンキャンバス」「プレゼンテーション用資料」の3つが必要となり、これらのテンプレートはすべてポータルサイト上にアップされている。