『機動戦士ガンダム』シリーズは、世界に誇る日本のポップカルチャーとして世界的な人気を誇る強力IP。その礎となったのは1980年代前半のガンプラブームだ。その40年の歴史を紐解いた時、モデラーたちに多大な影響を与えた「MSV」と「プラモ狂四郎」の存在について、Instagramでハイクオリティな作品を発信する人気モデラー・カス氏(good_for_nothing777※Instagram)に話を聞いた。

【写真】「哀戦士」ポスターで、ドムと対峙したリアルタイプガンダムの雄姿を再現

■ガンプラ復帰のきっかけは「子どもにいいとこを見せたかった」から

――カスさんの作品からは塗装へのこだわりを感じます。塗装や汚しの魅力に目覚めたキッカケを教えてください。

【カス】社会人になった後は、結婚したり子どもが産まれたりで暫くの間はガンプラから離れていました。ですが、ガンダムが好きっていう根は枯れることがなくて、子ども達と一緒にガンダム作品を観ることが多かったんです。

――子どもと一緒に見るガンダム作品は楽しそうですね。

【カス】はい。彼らが小学校に上がった頃から、気が付くと彼らがガンプラを作っているんですね。それを見て懐かしくなり、私も普通に素組みでガンダムを作り出したんです。すると、子ども達も私に負けじと頑張って作り出す。それで「上手くなりたいか?」と聞くと「うん」と。それならば大人の本気を見せてやろうと、“簡単フィニッシュ”と言われる形成色を活かしたスミ入れとクリア吹き付けの塗装から始めたのが、今に至るきっかけですね。

――「子どもにいいとこを見せたい」っていう想いは、“ガンプラおやじあるある”ですね(笑)。ちなみに、塗装技術を高めて行く中で苦労した点は?

【カス】今でも壁にブチ当たっている真っ最中なんですが、塗装の剥げを表現するのが未だに難しくて試行錯誤しています。特にスポンジチッピングの様な細かい作業は苦手です。

――自分の中の“壁”を突破できましたか?

【カス】実はあまり手先が器用な方ではないので、未だに「突破した」という自覚や上手くいったという感覚が無いんです。日々練習ですね。

■「MSV」の魅力は実際のストーリーにはない“リアルさ”

――今回紹介している作品は「MSV(モビルスーツバリエーション)」のリアルタイプガンダムです。「MSV」の魅力とは一体何でしょうか。

【カス】「MSV」の魅力は、実際のストーリーにはない“リアルさ”を表現した点でしょうか。劇場版『機動戦士ガンダムII』の大河原邦男さんが書いた「哀戦士」のポスターにはこのリアルタイプガンダムが描かれていて、衝撃を受けたのを今でも覚えています。

――当時の文化でいうと、漫画『プラモ狂四郎』も絶大な人気がありました。

【カス】『プラモ狂四郎』の影響は少なからず受けました。当時、親が漫画を買わせてくれなかったので(小遣いで買うのも禁止)、友達から『(コミック)ボンボン』を借りて読んでいたんですね。今ではデカールで表現されている「注意書」を細かく筆で書いて表現していたりとか、パーフェクトガンダムが登場した時のインパクトがメチャクチャ色濃く記憶に残っています。思えば、その頃から正規のガンダムよりも「MSV」寄りだったのかもしれないです。

――カスさんのインスタグラムを見ると、撮影技術の高さも感じます。これは、ライティングですか?それともPCでの加工ですか?

【カス】カメラも趣味の1つなので、撮影時のライティングにも気を使っています。ただ、自宅には撮影ブースがないので、どうしても限界があります。余分な影が出来てしまったり、うまい具合に明かりが取れなかったり。なので、撮影したものはアプリで修正を入れることが多いです。私はPCを使わずに修正など全てをスマホアプリでやっています。

――カメラに凝るようになった理由は?

【カス】主に山岳写真や星空の風景写真を趣味で撮っていましたが、2年ほど前に知り合いの方に成人式の晴れ着姿を撮ってくれないかと依頼され、身近なガンプラを練習台にしたのがキッカケです。

――今後、ガンプラ撮影で高めたい技術は何でしょうか。

【カス】より一層のリアル感を出すために、PCによる加工技術を学びたいですね。スマホよりも美しく加工が出来るはずですし、何よりガンプラ以外にもその技術を活かせますから。その為にはまず、自分用のPC入手するところから始めないといけないんですけどね(苦笑)。

――最後に、カスさんにとってガンプラとは?

【カス】死ぬまで付き合っていく“人生の相棒”です。

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