作家の辻仁成氏が22日、都内で行われた映画『風をつかまえた少年』公開記念特別試写会に出席。先日15歳になったばかりという息子への思いを語った。

辻仁成のプロフィール

 同作の舞台は、大きな干ばつが襲ったアフリカの最貧国・マラウイ。飢饉(ききん)による貧困のため通学を断念した14歳の少年ウィリアム・カムクワンバ氏が、図書館で出会った1冊の本を元に、独学で廃品を利用した風力発電を作り上げ、家族と自身の未来を切り開いた実話を映画化した人間ドラマとなっている。

 辻氏は、同じ世代の息子を持つ親として、同作の感想について「子供が親の反対を押し切っても、人のために行動を起こすことに、何が彼をそうさせたのかが映画から伝わってくる。ただ、映画として描いている部分はあると思うので、実際にはもっと大変で過酷な状況のなか、彼が困難を克服したんだろうなと見ていて感じました」としみじみ。

 息子との関係も触れ「さっき2分ほど電話で話したけど、2分間つかまえるのもやっとで。パリから日本にもひとりでくるし、九州や親戚のところまでも、親の手を借りないでひとりで行動するタイプで、たくましい。自宅にスタジオを作って音楽家活動をしたり、友達たちと映画づくりの話もしていて、僕も今福岡で新作を撮っているけど、そこにも参加してエキストラの整理とかも頼まれて勝手にやっている」と明かした。

 作品のテーマとも関連させて「この映画のすごいところは、父親の反対を押し切ってやり遂げたこと。それがうちにはないんですよね。うちは子どもに反対せず、何でもやらせてきた。バレーボールで優勝したり、成績も優秀で9月には志望校の高校に入れたり、フランス語も彼のほうができるから今では、親としても文句言えないというところもあるけど」とにっこり。息子が、恋人ができた記念に、一緒に曲作りをしないかと持ちかけてきたといい「息子は自分の部屋の半分にスタジオを持っていて、スピーカーやレコーディング機材、マイクや映像編集のソフトまである。彼のスタジオでつくったその曲を僕が歌った。すごくいい曲で、自分たち大人には作れないことをやるんだと感じた」と舌を巻いていた。