リングサイドで激写した写真140枚でプロレス黄金時代を振り返る―。夕刊紙「内外タイムス」元写真部長のカメラマン山内猛さんが「プロレスラー 至近距離で撮り続けた50年」を出版した。

 山内さんは1955年生まれ。ジャイアント馬場の全日本プロレス、アントニオ猪木の新日本プロレスが生まれた72年からプロレスを撮り始め、80年に内外タイムス社に入社した。

 個性豊かなレスラーたちが必殺技を放つ際に強さを誇示したり、逆に相手の技を受けて苦痛に耐えたりする表情はどれも魅力的だ。「プロレス写真は表情が命。一瞬見せた表情に注目してほしい」と語る。

 撮影秘話も満載。81年の馬場対キラー・ブルックス戦(後楽園ホール)では、興奮したブルックスに山内さんは髪の毛を引きちぎられた。タイガー・ジェット・シンの場外乱闘は素早く距離を取るのが鉄則で、カメラを破壊された同業者もいた。

 藤波辰爾のドラゴンロケットや、三沢光晴のエルボー・スイシーダなど、場外の相手めがけて飛んでくる大技の撮影は経験がものをいう。「相手が場外に落ちた瞬間、次の展開を読んで撮影場所を移動する。撮れなかったでは済まされません」と明かす。

 70年代の写真は、山内さんが高校、大学生だったアマチュア時代に撮影したもの。中には76年の猪木対ムハマド・アリ戦前日に新宿・京王プラザホテルで行われた計量の写真もある。「夕刊紙に電話すると、会場を教えてくれたので潜り込めた。今では考えられない、おおらかな時代でした」

 新潮社刊・1980円。