五輪を迎える街を記録するはずが、新型コロナウイルス禍の景色を伝えることに―。写真家初沢亜利さん(47)が、今年前半に撮った約140点を収める写真集「東京、コロナ禍。」(柏書房)を出版した。混乱の中にあった首都の日常を「追体験できる作品」になった。

 無人の上野公園で咲き誇る桜、コンビニの床に距離確保の表示を貼る外国人店員。ひたすら街を歩き、シャッターを切った。

 緊急事態宣言下の4月、世田谷区の公園で若い女性が独り、もくもくとダンスの練習をしていた。写真を贈ると「先が見えず落ち込んでいたが、撮ってもらい、存在が認められた気がした」と感謝の返事が届いた。