人の心を操って残虐な行為に走らせる「狂気の詐欺師」を描いた配信大手ネットフリックスの映画「愛なき森で叫べ」(11日配信開始)。過去にも映画「冷たい熱帯魚」などで衝撃的な事件を題材にしてきた園子温監督が「初心に帰ったつもりで」と、再び問題作に挑んだ。

 主人公の詐欺師村田役に選んだのは、俳優椎名桔平。数年前から「いつか一緒にじっくり仕事をしたい」と話し合っていたこともあり、真っ先にオファーしたという。

 “相思相愛”が実った形だが、村田を演じるのは「非常に悩ましかった」と椎名。息をするように自然に人をだまし続けるため「村田自身が『村田』という人間を演じているようで、つかみどころがなかった」と話す。

 基本的にリハーサルをせず、本番一発勝負で撮り進める園監督のスタイルと相まって、その場に立つまでどう演じるか定まらなかったことも。椎名は「常に試されているようで、大変な現場だったが、だからこそ生まれるグルーブ感のようなものが作品に反映されている」と振り返った。

 ラストは深い森の中、それまで冷徹なモンスターとして描かれていた村田が意外な表情を見せる。園監督は「椎名さんのひょうひょうとした演技が絶妙で、かえって修羅場の後にふさわしかった。他にはないラストシーンになりました」と自信をのぞかせた。