参院選投開票を前に、障害者アートの商品化を手がける盛岡市のヘラルボニー(松田崇弥社長)は、知的障害者の投票をサポートする「やさしい投票ガイド」を発行した。事前準備や投票所で困った時に役立つ情報をイラストで紹介。「選挙に行く当たり前がかなわなかった人たちの1票をケアしたい」と社会全体の意識が向くことを願う。

 ガイドは左面が「字を書けなくてもOK」「メモを持っていってもOK」など投票に向けた事前準備の情報。右面は投票所で困った時に係員に見せるコミュニケーションボード仕立てとし「代わりに書いてください」「わかりやすく説明してください」など指さしで伝えられるようにした。

 制作のきっかけは、松田社長(31)と双子の文登副社長(31)の日常経験から。家族と選挙の話をしても、重度の知的障害がある長兄とはしなかった。「1票を持っていても行使されずに生きていくのかなと思ったし、分断されていると感じた」

 重度障害で理解が難しい人もいるかもしれないが、軽度障害や情報が届いてないがために投票へ行けなかった人たちをケアすることを目指す。交流サイト(SNS)などで「#CAREVOTE」(投票をケアする)というアクションも展開し、多彩な議論の深まりに期待する。

 松田社長は「選挙の分かりにくさから1票を行使できない状態になっている人たちがいる。やさしい情報を届け、ありのままの姿でいられる社会の醸成につなげたい」と語る。

 ガイドは知的障害者への文章表現の実践例を有する一般社団法人スローコミュニケーションが監修。8日付岩手日報朝刊の別刷り(4ページ)で発行したほか、同日から特設ウェブサイトで無料ダウンロードできる。