助産師育て女性支援

 助産師の経験を生かし、教員に転身した聖路加(せいるか)国際大大学院(東京都中央区)の五十嵐ゆかり教授(49)=花巻市出身。看護師や助産師を目指す学生を育てる傍ら、子どもたちへの性教育や災害時の女性支援にも取り組む。多彩な活動に力を注ぐ根底には「人生で困ったとき、相談相手に助産師がいることを知ってほしい」との願いがある。

 ウィメンズヘルス(女性の健康)・助産学の領域で、看護学部の3、4年生の科目や実習を担当。大学院では母性看護専門看護師(CNS)を育成するコースを担い、家庭の事情などで出産前から支援が必要な「特定妊婦」のケアなど専門性を高めたい学生を育てる。

 チームでの議論を中心としたチーム基盤型学習(TBL)を取り入れ「楽しそうに学ぶ姿や、病院実習でお母さんから『ありがとう』と声をかけられる姿を見るのがうれしい」と学生の成長がやりがいだ。

 花巻南高を卒業後、「看護師もいいかな」と県立一関高等看護学院に進学。病院実習で、人生で初めてお産に立ち会ったことが転機となった。「妊婦に寄り添い、赤ちゃんを取り上げる助産師さんがかっこいい」。命の誕生の瞬間に衝撃を受け、感動した。

 東京や県内で5年働いた後、視野を広げようと27歳でオーストラリアへ留学。「赤ちゃんやお母さんが大好きで臨床の仕事が楽しかった」が、シドニー大で学ぶ中で「後輩の育成や学生と一緒に学ぶ仕事もいいな」と思うようになった。

 勤務した都内の病院に外国人患者が多くいたこともあり、現在は異文化看護が専門。外国人母子の支援だけでなく、聴覚に障害のある人などに対しより良いケアを考えている。

 東日本大震災後は陸前高田市の避難所で女性支援に取り組み「避難所に女性リーダーがおらず、女性の視点が足りない」と実感。例えば生理用品などの物資は不足しても男性には言い出しにくく、経験を基に各地で講演も行う。

 都内の小学校などで性教育に取り組むのは「人生をどう歩むかを早い時期から少しでもイメージしてもらいたい」から。「いつか困ったとき、助産師の存在が記憶にあるとうれしい」。今後も、あらゆるライフステージの女性に寄り添うつもりだ。


 五十嵐 ゆかりさん(いがらし・ゆかり)
 花巻南高卒業後、県立一関高等看護学院、千葉大医学部付属助産婦学校を経て、助産師として5年勤務。シドニー大大学院修士課程修了、聖路加看護大(現聖路加国際大)大学院博士課程修了。2010年から同大勤務。49歳。花巻市星が丘出身。