2022.07.30

天の川、打ち寄せる光 月刊南極支局

天の川がくっきり見える夜空に揺らめくオーロラ。南極大陸(奥)と雪上車を包み込むように広がる=4日午後8時40分、南極・東オングル島(2.5秒露光)
天の川がくっきり見える夜空に揺らめくオーロラ。南極大陸(奥)と雪上車を包み込むように広がる=4日午後8時40分、南極・東オングル島(2.5秒露光)

 【昭和基地で国際部・菊池健生】7月の昭和基地周辺は、オーロラが見える好条件に恵まれた。出現頻度が高い「オーロラ帯」にある同基地では、夜長に好天が重なり、太陽の活動もマッチ。美しい光のカーテンは、第63次南極地域観測越冬隊(沢柿教伸(たかのぶ)隊長)の隊員の心を癒やしている。

 4日午後8時40分ごろ、基地上空にオーロラが見え始めた。幾重にもなり、揺らめく。天の川を背景に、赤や緑の光が生き物のように形を変える。

 オーロラは太陽風によって運ばれた電子が大気中の酸素や窒素と衝突し、光を発する現象。先人たちも不思議な思いで見ていた。

 1912年に南極点に達しながら死亡した英国の探検家ロバート・スコットは日誌に「オーロラが人の心を強く動かすのは、むしろ何か純粋に霊的なもの、静かな自信に満ちてしかも絶えず流動するものを暗示することによって、想像力を刺激するから」と記した。中世欧州では災害の凶兆、北極の先住民族は「死の国へ案内する精霊のたいまつ」「出産時に亡くなった子どもの霊」に例えた。

 観測隊員の佐藤幸隆さん(33)=気象庁、東京都小金井市出身=は「静かに動くオーロラに圧倒された。(昔の人たちは)音もなく広がる光にある種の恐ろしさを感じたのではないか」と見上げた。

◇      ◇

 第63次南極観測越冬隊の活動は、岩手日報本紙をご覧ください。

定期購読申し込み・ご案内

岩手日報本紙電子新聞

関連リンク