県は24日、国際リニアコライダー(ILC)と建設候補地の北上山地(北上高地)について考える講演会を一関市の東山地域交流センターで開いた。3人の研究者が岩手、宮城両県にまたがる同山地の成り立ちや適地の理由、平泉文化を支えた点に言及。誘致活動が正念場を迎える中、聴講した約80人は地域の価値と可能性を改めて見つめた。

 東北大の永広(えひろ)昌之名誉教授(地質学)は同山地の約5億年の歴史について解説し、「日本列島ができた1500万年前から見ても、ほぼ地層が変わっていない。火山や活断層の活動も北上川の西側で、ずっと静かな状態を続けている」と安定性を強調した。

 素粒子や宇宙物理を研究する同大大学院の佐貫(さぬき)智行准教授は、ILCの意義とともに、研究者グループが同山地を世界最有力の候補地に選定した経緯を説明。「安定した岩盤が広い範囲に広がっており、長いトンネルの建設や加速器の運転の観点から適している」と評価した。

 平泉文化の側面からは、岩手大平泉文化研究センターの千葉信胤(のぶたね)客員教授が講演。同山地の産金に着目し、「金は日宋貿易の決済にも用いられた。奥羽の物産と北方交易品による平泉の安定した政権は、産金が支えた」と紹介した。

 会場には地質を紹介するパネルも展示された。同市大東町の佐々木富雄さん(83)は「安定した地盤に自分たちが暮らしていると感じた。まだ分からないことが多いが、ILCで地域がどう変わるか興味がある」と見学していた。

 誘致実現へ国に働きかけを続ける、県の箱石知義ILC推進局長は「北上山地という切り口で地域の魅力を再認識してもらい、将来を考える大きな要素としてILCにも関心を寄せてほしい」と語った。