【スイス・ニヨンで報道部・鎌田佳佑】国際リニアコライダー(ILC)計画をけん引する国際推進チームの中田達也議長(67)=スイス連邦工科大ローザンヌ校名誉教授=は18日、岩手日報社のインタビューに答えた。「日本が誘致を望む限り、きちんと支援する」と述べる一方「2023年度予算で次世代加速器の研究開発にお金が付かなかった場合、(世界の)議論はかなりシビアになる」との見方を示した。

 チームはILC準備研究所(プレラボ)の年内設置を計画していたが、文部科学省の有識者会議が国際費用分担の枠組みが整っていないなどとして「時期尚早」との報告を2月にまとめ、見送りとなった。中田氏は国際協議が進まない背景を「日本は外国から得られる支援を見極めないと協議を言い出せない。外国は誘致したい人が手を挙げないと話にならないとの立場で、ボタンがかけ違っている」と指摘した。

 プレラボが担う役割については「正確なコストを事前に定め、後になって高くなるのを防ぐには技術開発をできる限りやらないといけない」とし、設置段階で日本が誘致義務を負うことはなく、正しい判断の材料を示すことだと強調した。その上で、向こう1年間で「プレラボは国際協議を進めるために必要だ。国際間の理解を一致させることと併せ、確実にステップを進める」と抱負を述べた。

 ILCにつながる研究開発について「欧州は円形加速器の実験があり、米国は(素粒子の)ニュートリノで手いっぱい。引っ張れるのは日本しかない」と強調。プロジェクトの実現可能性は「日本が誘致したいとして一生懸命、メリットを説き、科学技術だけでなく外交、経済面などを含めて関係国と議論すれば(良い結論が)出る」とみた。

 チームを設置する国際将来加速器委員会(ICFA)は日本での実現に繰り返し支持を表明してきた。ところが「プレラボの設置見送りに、欧米の反応は好意的ではない。23年度予算で次世代加速器の技術開発にお金が付かなかった場合、日本誘致をサポートするべきかどうかという議論はかなりシビアになる」と言及し、当面の動向を注視する姿勢を示した。

 ニヨンはジュネーブ北東25キロほどに位置するレマン湖ほとりの町。欧州サッカー連盟の本部がある。