「のんびり」。約3カ月の支社生活を表すのに最適な言葉だ。山の斜面に見える桜がきれいだと思った春。だいだい色に染まる夕方の空、街並みに思わず目を奪われる。当たり前の風景かもしれないが、美しさに心が動かされるのは久しぶりの感覚だった。

 盛岡市で過ごした社会人1年目は、正直に言うと気持ちに余裕がなかった。早く成長したいと必死に走り回ったが、それが裏目に出ることも。「自分に(記者は)向いていないのだろうか」と幾度となく悩んだ。

 そんな中で今春、一関支社に着任。時間の流れがゆっくりしている気がした。広大な自然と地域の人々とのより密接な関わりによるものだろうか。焦る気持ちが出現する回数は自然と減っていった。

 平泉町を担当する。あいさつで町役場を訪れた際、「いいところだから楽しんでよ」と町職員が声をかけてくれた。猛暑日の取材中には「暑いから梅干し食べなあ」と差し出してくれた夫婦も。地域住民の皆さんの温かさを感じる日々だ。

 日々の仕事や、記者としての悩みは尽きない。そんなときは、周囲に目を向け、人の優しさや自然の美しさに触れたい。この先何が待ち受けていようとどんと来い。始まったばかりの支社生活。改めて、よろしくお願いします。

(佐々木杏里)