2022.07.11

最強「A級」ブリザード 初の外出禁止、猛威実感

外出禁止令が発令される約1時間前、観測のため屋外を移動する隊員たち。地吹雪で視界が悪く、ライフロープを頼りに数十メートル先にある建物を目指す=7日午後8時10分ごろ、南極・昭和基地
外出禁止令が発令される約1時間前、観測のため屋外を移動する隊員たち。地吹雪で視界が悪く、ライフロープを頼りに数十メートル先にある建物を目指す=7日午後8時10分ごろ、南極・昭和基地

 【昭和基地で国際部・菊池健生】第63次南極地域観測越冬隊(沢柿教伸(たかのぶ)隊長)が運営する昭和基地は9日昼過ぎまで荒天が続いた。最大瞬間風速(速報値)35・7メートルで、3階級あるブリザード(吹雪)のうち、最も強い「A級」。同隊としては初めて「外出禁止令」も発令され、隊員たちは極地の自然の猛威を前に冷静に対応した。

 同基地の天候は7日から悪化した。午後8時10分ごろ、気球観測などのため7人が基地主要部から数十メートル先の基本観測棟に移動する。当時の平均風速は20・2メートル。建物間に張り巡らされたライフロープを伝って移動するが、力を抜くと体勢が崩れるほどの地吹雪が体に打ち付ける。

 主要部に着いた観測隊員の岩本勉之さん(50)=北海道・紋別市職員、福岡市出身=は「視界が悪く、ライフロープがなければ命の危険を感じる。基地を一歩出れば、自然が猛威を振るう場所なのだと再認識した」と雪を払った。

 外出禁止令は同9時15分に発令。天候が悪化してきた夕方時点で全隊員の所在地を確認していたため、館内放送などは行わず、基地主要部に発令を伝える紙を張り出した。

 同基地は火災の類焼を防ぐなどの観点から主要部と離れた建物が多くあり、屋外の移動が不可欠だが、発令中は原則、建物間は移動できない。荒天を想定し、観測棟には食料も備蓄。今回は通常の観測業務を行う気象隊員3人が、基本観測棟に残って夜を明かした。

 観測隊は視程100メートル未満、平均風速25メートル以上となった場合、越冬隊長の判断で外出禁止令を発令する。ブリザードはA、B、C級に分類し、最強のA級は▽視程100メートル未満▽平均風速25メートル以上▽6時間以上継続―の条件がある。今回は7日午後6時40分から9日同1時25分まで、断続的に条件を満たした。

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 第63次南極観測越冬隊の活動は、岩手日報本紙をご覧ください。

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