大谷、球宴へ祝砲19号 及川彩子さんのMLBリポート

オールスター選出が決定した8日、大谷翔平(花巻東高)はファンの期待に応える大活躍をみせた。
オリオールズに1点差に追い上げられた九回2死の場面。
変化球を得意とする右腕5番手のテイトが放った外側低めのチェンジアップを大谷はすくい上げながら振り切った。
「カンッ」
打った瞬間に大きな当たりと誰もが分かった。
大谷はゆっくりと打球の行方を見守る。
昨年オールスター出場の中堅手で俊足のマリンズが必死に追いかけ、フェンス前でグラブを上げてジャンプするが、打球はその頭上を越えていった。
飛距離127メートルの豪快な一発でチームに貴重な追加点をもたらした大谷は、右手で軽くガッツポーズし、ホームを踏むと今度は両手の拳を握りしめた。
この日は1打席目こそ、先発のウェルズのチェンジアップを打たされ二ゴロに終わったが、球がよく見えていた。
ウェルズとの2打席目の対戦は大谷に軍配が上がった。5球目の低めのスライダーを真芯で捉え、左に運ぶ。
2番手ベイカーの155キロ速球を振り抜いた3打席目は、残念ながらヘイズの好守備に阻まれ左飛だったが、その飛距離はなんと120メートル。
オリオール・パークは本塁打対策として今季、左翼フェンスを9メートル深くしたほか、フェンスも2メートルほど高くする改修を行っており、昨季までなら本塁打の当たりだった。
「ミートする感覚」を掴んで迎えた4打席目。3番手左腕アキンのインコース高め、148キロの速球を再び左前に運ぶ。
終わってみれば5打数3安打の猛打賞。
一、二塁間の守備を強化する「大谷シフト」を破る打撃を見せた上、変化球攻めを読み、ゾーンに入った球を思い切り振り抜く攻撃が光った。
試合前にオールスターの先発野手を決めるファン投票でDH部門で2年連続2度目の出場が決まり、ロッカールームでは選手やスタッフから「おめでとう」と笑顔で祝福を受けた。
「あのような雰囲気でプレーすることはなかなかない。(オールスターは)来年も行きたい、頑張りたいと思わせてくれる場所」と10日後に迫る夢の舞台をこう表現していたが、1位選手に相応しい圧巻の攻撃力だった。
どの投手来ても勉強 一問一答

-オールスターに選ばれた
昨年に続き選ばれたのでがんばりたい。
-今年はトラウトと一緒
彼は毎回出ているので慣れていると思う。僕は2回目ついていきたい。
-ファンの皆さんがDHとして投票してくれた
うれしい。もっともっと励みに頑張りたい。
-昨年はホームランダービー、投手、打者として出場。今年も3つやりたいか
まだ何も話していないので、どうなるのか分からない。選んでもらったからにはプレーしたいと思う。
-先発ではない可能性もあるが、調整の難しさは
まだ何も話していないのでどうなるのかなと。相談して進めたい。
-投票で争うことになったが
投票の内容は随時チェックはしていないので分からないが、今日選ばれたことを聞いた。
-昨年と今年で選ばれた心境の違いは
初めてか初めてじゃないかの違い。何度選ばれてもうれしい気持ちは変わらない。
-昨年のオールスターで一番思い出に残っていることは
プレーすることが一番。ああいう雰囲気でプレーすることはなかなかない。毎年毎年、来年も行きたい、頑張りたいと思わせてくれる。
-同じロスのドジャースタジアムだが
エンジェルスのファンもアクセスしやすいのでは。ドジャースタジアムでプレーはなかなか多くはないので楽しみ。
-対戦したい選手はいるか
どの選手も素晴らしい投手。誰が来ても勉強になるかなと思う。
-オールスター出場でブレイクはないが
長期的な休みはないが、試合勘や打席の間隔などは多少あった方がいいと思うのでマイナスばかりではない。

米ニューヨーク在住。陸上、サッカー、ゴルフなどを幅広く取材するフリーライター。45歳。北上市出身。
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