2022.06.03

心照らした野田中の「太陽」 南極days(11)

野田中の生徒に見せた4月撮影の写真。太陽と日暈(ひがさ)に向かって南極大陸を進む隊員を紹介した
野田中の生徒に見せた4月撮影の写真。太陽と日暈(ひがさ)に向かって南極大陸を進む隊員を紹介した

 南極・昭和基地と野田中を衛星回線で結ぶ中継イベントが無事終了した。屋外からの中継や観測隊の紹介動画制作など、多くの越冬隊員の協力で成功。約1万4千キロ離れた生徒との約50分間の交流は、越冬生活の大きな力となっている。

 イベントは国立極地研究所と岩手日報社主催で5月27日に開催。生徒、教員ら約110人に向けた発信でこだわったのは、新型雪上車からの中継だった。63次隊が持ち込んだ車両は、約千キロ離れた内陸拠点への移動を控えており、今回どうしても紹介したかった。

 だが、車内から無線方式で試験すると映像に遅延が発生。さまざまな方法を検討し、最終的に新しいケーブルでつないで対応した。隊の1日を紹介する約3分の映像は、約3週間で制作。編集や撮影には他の隊員を巻き込み、きれいにまとめてもらった。

 ただでさえ限られた人数の中、多くの隊員に助けてもらって調えたシナリオも荒天となっては狂ってしまう。予報に一喜一憂して迎えた当日朝。自室の窓から風雪がないと確認し、心の中でガッツポーズした。

 野田中との中継は、東日本大震災被災地の未来を担う子どものためにと企画した。久慈支局勤務時に取材した地域の生徒が真剣に画面に見入り、たくさん質問してくれた。同校で見届けた先輩記者によると、記事を掲示して事前学習もしてくれたという。

 生徒の震災後の合言葉は「野田村の太陽になろう」。その「太陽」たちが最後にくれた全力のエールは心に響いた。中継終了後には多くの隊員が喜びの声を寄せた。

 中継から4日後、昭和基地は太陽が1カ月半昇らない「極夜」に入った。「野田村の太陽」の声援は、私たちの心を照らしてくれている。

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 第63次南極観測越冬隊の活動は、岩手日報本紙をご覧ください。

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