2022.06.29

厳しい環境、生きる知恵 南極days(13)

完成したグリーティングカードを手に談笑する桜庭健吾さん(中央)ら=南極・昭和基地
完成したグリーティングカードを手に談笑する桜庭健吾さん(中央)ら=南極・昭和基地

 南極で越冬観測する世界各国の観測隊が、冬至前後に開く「ミッドウインター祭」。昭和基地では27日まで開催され、63次越冬隊員紹介が士気を高めた。文献をひもとくと、起源は約120年前の南極探検時代。極限の地で生き残るため、先人からつないできた知恵の歴史が見えてくる。

 ケンブリッジ大(英国)の極地に関する学術雑誌「Polar Record」の掲載論文によると、1898年、南極圏で初めて越冬したベルギカ号(ベルギー)にまつわるとされる。乗組員が精神的・肉体的に不調となった経験から、その後の探検隊では士気改善などのため、冬至を祝うようになった。同船には南極点に初到達したアムンセン(ノルウェー)も乗っていた。

 一方、日本は1次越冬隊長の西堀栄三郎氏が著書「南極越冬記」に、冬至を祝ってごちそうや食後の映画を楽しむ様子を記している。3次越冬隊報告には「ミッドウインター祝日」という記録が残る。

 63次越冬隊の沢柿教伸(たかのぶ)隊長(55)=法政大、富山県上市町出身=は「厳しい自然の中で、人々が生きていくための知恵の結晶だ」と話す。

 南極の基地同士で節目を祝う「グリーティングカード」を贈り合い、国や文化を越えて交流を深めるのも慣例。63次隊も有志が撮りためた写真などでカードを作り、20日に計47カ所の基地にメールで送った。

 編集した越冬隊員の桜庭健吾さん(26)=日立製作所、茨城県日立市出身=は「空撮した全景写真を入れ、日本の基地らしさが出るように工夫した」と納得の出来栄え。最寄りの基地でも千キロ離れているが、各国の同志とつながることも越冬を乗り切る力になる。

世界各国の基地に送った63次隊のグリーティングカード

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 第63次南極観測越冬隊の活動は、岩手日報本紙をご覧ください。

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