2022.06.28

激しく輝く「オーロラ爆発」前 高エネ電子、大気深くまで到達

越冬隊員の上空に現れたオーロラ。激しく輝く直前に、より深くまで高エネルギー電子が達していることが最新の研究で分かった=27日午前1時ごろ、南極・昭和基地(1.3秒露光)
越冬隊員の上空に現れたオーロラ。激しく輝く直前に、より深くまで高エネルギー電子が達していることが最新の研究で分かった=27日午前1時ごろ、南極・昭和基地(1.3秒露光)

 【昭和基地で国際部・菊池健生】南極の夜空を彩るオーロラが急激に明るく光る「オーロラ爆発」の発生前、高いエネルギーの電子が地球大気の深くまで降っていることが、総合研究大学院大(神奈川県)や国立極地研究所(東京都)などの研究で分かった。昭和基地の大型大気レーダー「PANSY(パンジー)」で、通常のオーロラより低い高度で反応を観測。オゾン破壊の要因とも考えられる現象で、太陽活動が地球の気候変動に与える影響の分析進展が注目される。

 オーロラは、太陽風によって運ばれた電子が大気中の酸素や窒素と衝突し、光を発する現象。一般的には高度100~500キロで発生する。

 オーロラ爆発前の高エネルギー電子による反応「大気電離」はPANSYが2018年7月24、25日、高度68キロで捉えた。爆発の約10分前から、少なくとも10分以上継続。オーロラを光らせる電子のエネルギーは1~10キロ電子ボルト程度だが、数百キロ電子ボルトを超えた。東西方向約4千キロの広範囲に降り込んだと推定される。

 高エネルギー電子と大気の原子や分子が衝突すると、大気の化学組成の一部が変化。オゾンを破壊する窒素酸化物や水素酸化物が増える。「オゾンホール」は成層圏(高度10~50キロ付近)の現象のため、与える影響は小さい。

 むしろ、今回の高度で注目されるのは、オゾン破壊を介した長期的な気候変動への影響。太陽フレア発生時のエックス線など異なる種類の粒子も統一的に研究することで、太陽に起因する気候変動の定量評価への道を開く。

 研究成果は国際学術誌「Journal of Space Weather and Space Climate」に掲載。執筆し、国内で研究を続ける同大学院大の村瀬清華(きよか)さん(25)=宇宙空間物理学、岐阜県本巣市出身=は「爆発前のオーロラを詳細に調べることで、まだ謎の多いオーロラ爆発のメカニズムを解く一つの鍵を得られるのではないか」と話す。

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 第63次南極観測越冬隊の活動は、岩手日報本紙をご覧ください。

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