雄星の仲間たち(9) 及川彩子さんのMLBリポート
モレーノ(捕手)

チーム期待の大型新人、ベネズエラ出身の22歳、モレーノが6月11日にデビューを果たした。
2016年、16歳の時にブルージェイズに入団。マイナーリーグで頭角を現し、2020年には40人ロスターに入っている。
4人兄弟の末っ子で幼い頃から兄とボールを追いかけた。家計が厳しく、野球を諦めかけたこともあったが、地元の野球コーチがモレーノの才能に気づきサポートをしてくれた。
「故郷の皆のおかげで夢を叶えることができた」
すでに捕手としてスタメン出場しているが、バッテリーを組んだ菊池雄星(花巻東高)、ガウズマンともに「若いけれど、とてもいい選手。姿勢もすばらしい」と口を揃える。
投手とのコミュニケーションを大事にし、通訳をなるべく使わずに辿々しい英語ながら一所懸命話す姿も好感が持てる。
強肩、打撃、そして強気のリードでチームの勝ち星に貢献していきたい。
ロマノ(投手)

カナダ、オンタリオ出身の29歳。チームでわずか2人のカナダ生まれの選手だ。
「トロント近郊で育ってブルージェイズのファンだった」
憧れのチームに入団したのは大学卒業後の2014年。マイナーリーグ時代にはホワイトソックス、レンジャーズなどにトレードされたが、2019年から再びブルージェイズに。同年6月に大リーグデビューをし、昨季から抑え投手として登用された。昨季中盤から今季4月末のアストロズ戦まで31連続セーブを達成するなど頼れる守護神だ。
155キロの速球とストライクゾーンを鋭くつくスライダーが武器で、マウンドでは打者と駆け引きは一切せずに真っ向勝負をする。
「そもそも持ち球が2つしかないから駆け引きできない(笑)捕手のミット目掛けて無心で投げ込むだけ」と笑う。
一点も許せない場面での登板が多いが、「9回にマウンドに向かう時、アドレナリンを抑えるためにあえてゆっくりと歩いていく。心を整える儀式みたいな感じかな」と守護神は毎試合、準備万端で備えている。

米ニューヨーク在住。陸上、サッカー、ゴルフなどを幅広く取材するフリーライター。45歳。北上市出身。
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