着任して1カ月が過ぎた。岩手、葛巻の両町を往復する日々を送り、人口減少に悩む山間地域という印象が変わりつつある。

 自然豊かな環境での子育てや暮らしを望み、葛巻町に移住する若い世代は想像以上に多い。ある女性は「町が仕事と住居、保育をセットで考えている。町の人も温かく声をかけてくれる」と魅力を語り、新生活への希望に満ちあふれた家族の姿がまぶしく映った。

 低価格の賃貸住宅に出産助成金、高校生まで町内で学べる環境などの手厚い支援策が子育て世帯を引き付け、町外から葛巻高に入学する山村留学制度も定着。町内外の人材が生み出すパワーとアイデアで地域に活気が生まれている。

 4月の岩手町政懇談会では、地域課題のテーマに沿って町の若手職員と町民が意見を出し合うワークショップが行われ、会場は熱気に包まれた。2020年に「SDGs未来都市」に選定された同町。空き家のマップ作りや「岩手」の名を生かした活性化策など妙案の数々にうなずくばかりだった。古里の行く末を憂い、真剣に意見を交わす人々の姿は、持続可能なまちづくりを体現している。

 生活面では両町が誇る新鮮野菜や乳製品に心を奪われ、財布が一層軽くなった。魅力が詰まった「宝の山」のさらなる掘り起こしに全力を注ぎたい。

(斉藤大樹)