地球と観測の今を知る 野田中と昭和基地結びイベント

第63次南極地域観測越冬隊(沢柿教伸(たかのぶ)隊長)が活動する昭和基地と野田中(勝部孝行校長、生徒89人)を結んだ中継イベント(国立極地研究所、岩手日報社主催)は27日、同校で行われた。隊員や同行中の同社国際部の菊池健生記者(31)が研究や越冬生活の様子を紹介。生徒は地球の過去・現在・未来を探る観測の最前線や自然を学んだ。
全校生徒が参加。同校の宅石忍教諭が呼びかけると、菊池記者が登場した。木目調のおしゃれな部屋からの中継でスタートしたが、実は最新の雪上車内であることを明かすと生徒は驚いた様子。車外に出ると午前9時半でも真っ暗で、太陽が出なくなる「極夜(きょくや)」が近いことを伝えた。
沢柿隊長が地球の気候変動史を探る研究、建築・土木隊員の堀川秀昭さん(49)が基地の建物について説明。生徒の質問に対し、高木佑輔さん(36)=ヤンマーパワーテクノロジー、桜庭健吾さん(26)=日立製作所、石川嵩(たかし)さん(32)=気象庁=が「水は雪からつくる」「電気はディーゼルエンジンで約70世帯分つくれる」「観測で重要なのは安全」などと答えた。

同校生徒の東日本大震災後の合言葉は「野田村の太陽になろう」。中継の最後に「太陽が出なくなる極夜を前に太陽の生徒たちがエールを送る」とし、生徒は「フレー、フレー観測隊」と声を合わせた。指揮した野場義生(よしき)さん(3年)は「世界のために働く人たちに頑張ってほしいと思いを込めた」と語った。
中継イベントは、震災被災地の未来を担う子どもたちのために企画。菊池記者が久慈支局勤務時に野田村を担当していた縁などから実現した。
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第63次南極観測越冬隊の活動は、岩手日報本紙をご覧ください。