奥州市水沢で南部鉄器の製造過程で生じる二酸化炭素(CO2)の削減に向けた挑戦が始まっている。1500度の高温で鉄を溶かす際に、リンゴの搾りかすや樹皮などを原料にした植物由来の固形燃料「バイオコークス」を使って排出量を減らす試み。大学の協力を得て実験を行っており、本県が誇る伝統工芸の分野にも脱炭素の動きが広がっている。

 同市水沢羽田町の及富(及川一郎(かずお)社長)で4月中旬、バイオコークスを使った実験が行われた。石炭を乾留させた通常の燃料の1割をバイオコークスに置き換えて鉄を溶かし、鋳型に流し込んで鉄瓶やふた、風鈴を製造した。

 実験に協力する岩手大の堀江皓名誉教授(79)は「鋳物として問題なく製造できることが分かった。そう遠くない未来に実用化できるのではないか」と手応えを口にする。今後は鉄のサンプルを採取し、成分を分析、どの程度まで代替可能か実験を続ける予定だ。