国際リニアコライダー(ILC)計画を推進する国際将来加速器委員会(ICFA)は、今後の活動方針について声明を出した。引き続き「日本でのILCの実現を目指す」とし、これまで国内外での準備作業に当たってきた国際推進チームの活動を1年程度継続。その後の展開は国際的議論の進展を見極める方向だ。

 声明は素粒子物理学の目標を達成するため、最優先事項として「ヒッグス粒子の研究所が重要との国際的なコンセンサスを改めて確認する」と強調。ILC計画の現状について「技術的に成熟し、タイムリーな実現に向け工学設計研究へ進める」と技術面が整ったことに言及した。

 その上で、日本での実現を目指し、同チームを主体に「研究機関の国際協力をさらに強化し、幅広い支援を得られるよう注力する」とし、今後1年間で「国際的議論の進展を注意深く見守る」との姿勢を示した。

 ICFAは世界の主要な加速器研究所の所長らで構成。その実動部隊となるチームは高エネルギー加速器研究機構(KEK、茨城県つくば市)を拠点に2020年8月始動した。これまでILCの前身となる準備研究所の22年設置を目指して制度設計や世界の研究機関との交渉を続けてきた。

 ところが、文部科学省の第2期有識者会議が2月、ILCの学術的意義を認めつつ、準備研設置は「時期尚早」などとする見解を公表。これを受けてICFAは年内設置を見送り、国際推進チームを存続させる方向に軌道修正した。

 ILCは宇宙創成の謎に迫る巨大な素粒子物理学の研究施設。岩手、宮城両県にまたがる北上山地(北上高地)が候補地とされ、日本政府は誘致の可否を検討している。ICFAは22年に準備研を設置後、手続きが順調に進めば35年ごろの稼働を見込んでいた。