2022.04.13

氷上の「漁協」活動が本格化 南極days(8)

ヒレトゲギスを釣り上げた鈴木文治さん(右)。寒風に耐えた釣果の喜びは格別だ=昭和基地沖
ヒレトゲギスを釣り上げた鈴木文治さん(右)。寒風に耐えた釣果の喜びは格別だ=昭和基地沖

 昭和基地で「漁協」の活動が本格化している。久慈支局時代に取材した浜を思い出す響きだが、ここは南極。漁場は凍った海だ。ドリルで厚さ約1メートルの海氷に穴を開け、釣り糸を垂らす。

 もちろん漁協は漁業者の組織ではなく、南極地域観測隊の「生活係」の一つ。基地での暮らしを豊かにするため、隊員が本来業務以外にも仕事を受け持つ。係は14あり、隊員が興味のある分野に所属する。

 63次越冬隊の漁協係は11人。南極海の生態調査のため、魚を釣ることが任務だ。海には厳しい自然環境に適応した海洋生物が多く生息。島にある同基地は長年、絶好の調査スポットとしてデータを重ねてきた。

 寒さで氷が締まり、十分な厚さとなった今月から本格的に活動。隊員は穴に仕掛けを垂らし、当たりを待つ。かつて本県の岩洞湖で取材したワカサギ釣りを思い返し、私もさおを握ったが、ピクリともせず。海氷を渡る風が冷たい。

 寒風に耐えること1時間。「来た!」。調理隊員の鈴木文治さん(54)=国立極地研究所、千葉県南房総市出身=が声を上げる。慎重に糸を巻き上げ、18センチの「ヒレトゲギス」を釣り上げた。

 釣果は1匹にとどまったが、シーズンはこれから。「ショウワギス」もよく釣れ、過去の隊では1メートルを超える「ライギョダマシ」の記録も残る。漁獲は南極の国際条約に定められた範囲内で行う必要がある。冷凍保存し、最終的においしくいただく。

 組合長ならぬ漁協係長の根岸晃芸(こうき)さん(30)=同研究所、甲府市出身=は「これまでのデータや経験者の意見を踏まえ、歴代最大の魚を釣り上げたい」と闘志を燃やす。

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 第63次南極観測越冬隊の活動は、岩手日報本紙をご覧ください。

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