2022.03.24

違い認め合う社会に

遊具に興じる耀平君(中央)を見守る千葉久美子さん(右)と夫の和行さん。久美子さんは「息子はとにかく人が大好き」と話す=一関市内
遊具に興じる耀平君(中央)を見守る千葉久美子さん(右)と夫の和行さん。久美子さんは「息子はとにかく人が大好き」と話す=一関市内

プラダー・ウィリ症候群

千葉 耀平ちば・ようへい君(小学1年) 母 久美子さん=一関市

 一関市の千葉久美子さん(38)の長男で小学1年の耀平君は、染色体異常の難病「プラダー・ウィリ症候群」を患う。公園で遊ぶ様子は元気そのものだが、食欲を抑えにくい、筋力が弱い、知的な遅れなど病気特有の症状がある。

 生まれて間もなく同症候群の疑いと診断された。ミルクを口から飲めず、生後半年ぐらいは鼻から入れたチューブを通して与えた。

 久美子さんは出産前、子どもの病気や障害のリスクを全く聞いていなかった。夫の和行さん(43)と病気について調べた。悲観的な情報に目が行き「思い描いていた子育てとは違うのかと、がくぜんとした」。折れそうになる心を誰かと共有したくて、同症候群の二つの患者・家族会に入会した(現在は退会)。

 耀平君は2歳ごろから今まで1日1回、成長ホルモンを注射している。同年代に比べて筋力は弱いものの投与の効果は出ている。久美子さんは「保育園に入った頃は転倒などを心配したが、今は筋力的なことで生活に支障はない」と話す。

 心配は旺盛な食欲にある。病気による満腹中枢の異常が原因とされ「食べ物への執着はすごくある。他の子と違うとかんしゃくを起こしたり、明らかに少ないとか、周りから『残そうね』などと言われると、とても嫌な気持ちになるようだ。お代わりを大人より多く盛ることもあります」。

 食べ過ぎは肥満につながり、糖尿病など別の疾患を招く。同症候群は食事のコントロールが極めて重要とされるが「あまり制約すると、うそをついたり盗み食いをしたりしかねない。大きくなれば一人で行動できるようになる。そのあたりがとても心配」。いかに自律した食生活を身に付けさせるか。子育ての大きな課題になっている。

 息子に病気や障害がなかったら-。以前はそんなことを考えもした。症状が今後どうなっていくのか、未知な部分も多い。

 それでも今はこう感じている。「息子の存在、成長を認めてくれる方々に支えてもらい、元気をもらい、息子の良さに気づかせてもらった。出会った方々には感謝しかないです」

 そして「他(ほか)は他、息子は息子という心境にたどり着けたかな。息子は人が大好き。これからもそうでいてくれたら」。人と人が日常にある違いを認め合える社会。耀平君がずっと耀平君らしく生きられる優しい未来を、久美子さんは願う。

 

 プラダー・ウィリ症候群とは 染色体の異常を原因とし新生児期は筋緊張低下でミルクを飲む力が弱い、幼児期は過食傾向による肥満、低身長、学童期は成績低下、性格がやや頑固になる、思春期以降は糖尿病、性格障害など症状は多岐。国の小児慢性特定疾病。食事療法や成長ホルモン補充療法が行われる。

 

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