2022.03.24

成長を実感し前向き

鼻からチューブを入れている曾我豪太さん。母親のさおりさん(右)は「息子はドリフターズのファンになって、すごく明るくなった」と話す=盛岡市三本柳の自宅
鼻からチューブを入れている曾我豪太さん。母親のさおりさん(右)は「息子はドリフターズのファンになって、すごく明るくなった」と話す=盛岡市三本柳の自宅

ファンコーニ・ビッケル症候群

曾我 豪太そが・ごうたさん(中学2年) 母 さおりさん=盛岡市

 盛岡市三本柳の曾我さおりさんの次男で中学2年の豪太さんは、鼻に胃までつながるチューブを着けて生活している。生後半年で装着し、もう14年近くになる。病名は遺伝子異常が原因の「先天性ファンコーニ・ビッケル症候群」。症状の低血糖を防ぐため就寝中も糖分の補給は欠かせない。夜は点滴用の機械にチューブをつないで眠る。

 希少疾患に位置づけられ、確たる治療法はない。さおりさんは病名を告げられたときの心境を「一生付き合うしかないと言われ、これからどうしようという感じでした」と思い起こす。

 低血糖は重症化すると意識を失い、命にも危険が及ぶ。対処法は経腸栄養剤としてのミルクを与え続けることだった。

 夫と、上2人の子どもとの5人暮らし。「夜も寝られず、とにかく大変でした」。さおりさんは赤ん坊の豪太さんに、1時間半おきにチューブを通してミルクを与えた。点滴用の機械を使い始めた生後9カ月までは、昼夜も分からないほどだった。豪太さんはミルクをよく吐いた。当初はアレルギーのせいだと気づかず、困り果てた。

 豪太さんは幼い頃、知的な遅れが見られた。気むずかしさもあった。「ダウン症など別の病気なら相談先があったと思う。でも息子のケースだと相談先もなくて、私は病院に行くので精いっぱいの状態。いつも怒っていたし、死にたいとさえ思っていました」

 4歳ごろに親子で利用した同市の母子通園事業・わらしっこ教室に救われたという。「職員さんに話を聞いてもらい、遊びの意義や子どもとの関わり方を教えてもらった」。外とつながり、心を開けたことで前向きな気持ちになれた。

 豪太さんは小学校は特別支援学級に通った。3年生までは、さおりさんが学校に通ってミルクを注入した。修学旅行にも付いていった。知的な遅れが見られなくなった中学校からは、普通学級に通うようになった。

 低血糖の懸念は常に付きまとう。脚が「く」の字になるX脚や低身長など、同症候群に伴う他の症状も表れている。今後どうなるか予測は難しい。

 さおりさんは現実を受け止めながら、明るく話す。「小さいときが厳しすぎて、現在のような『普通』の生活が送れるとは想像していなかった。子どもは成長します」。今この瞬間が全てではない。愛息を見つめ、実感を込めた。

 

 ファンコーニ・ビッケル症候群とは 遺伝子の異常により、本来尿細管で再吸収されるアミノ酸やブドウ糖、カルシウム、リンなど体に必要な物質が尿中に過度の喪失をきたす疾患。希少な疾患で、国の小児慢性特定疾病。症状は低血糖、低身長、X脚など。治療は経腸栄養剤による物質の補充など対症療法にとどまる。

 

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