2022.03.18

雄星、新天地で好発進 及川彩子さんのMLBリポート

ヤンキース打線を2回無失点に抑えた菊池雄星=ダンイーデン
ヤンキース打線を2回無失点に抑えた菊池雄星=ダンイーデン

 米大リーグブルージェイズの菊池雄星(花巻東高)は22日(日本時間23日)、フロリダ州ダンイーデンでのオープン戦に今季初登板し、ヤンキースと対戦した。2回打者7人に35球を投げ、被安打ゼロ、4奪三振、1与四球の無失点に抑えた。試合はブルージェイズが9―2で勝利し、オープン戦ルールにより菊池が勝ち投手となった。

 気温30度のジリジリとした暑さの中、真新しい青いユニホームに身を包んだ菊池が熱い投球を見せた。「初回はばらつきがあったが、二回に入って修正できたのが今日の収穫かなと思う」と手応えを語った。

 先頭打者のトレスに四球を与え、野選などで2死三塁のピンチとなったが、4番アンドゥーハを151キロの直球で空振り三振に仕留めた。「日本の時もそうだったが、シーズン初戦、そして新しいチームの初登板だったので緊張した」と振り返ったが、3点の援護をもらった二回は菊池の独壇場となった。

 先頭の5番フロリアルを3球三振に切って取ると、6番ペラザ、7番ラマーレも空振り三振。前の回から4者連続空振り三振という圧巻の投球で、3672人の観客を大いに沸かせた。「いろいろと試したいし、試せる状態にある」と言うように、仕上がりは順調だった。

 自信を持って力強く投げ込むたびに、緊張がほぐれたのだろう。カットボールとスライダーがさえ、打者を打ち取るごとに本来の菊池らしい投球が見られた。

 プレッシャーのあった初登板を絶好の形で終えたが「追い込んでから良いところに決められた球もあった。そういうプロセスを大事にしたい。今日はストレートが少し抜け気味だった。もっと勝負できるように。コンスタントに投げられるようにと思っている」と、決して満足はしなかった。

 次回登板は、27日(同28日)のフィリーズ戦の見込み。

 

修正できたのが収穫 一問一答

ー今日の試合の感想は
最初にしてはよかったと思います。初回はバラツキがあったが、2回に入って修正できたのが今日の収穫かなと思う。

ー打者を抑える意識でマウンドに上がったか、試したいことを重視したのか
両方。課題も持ちつつ、対外試合が少ないので、気持ちよく入れるためには結果を求めながらという部分もあった。

ー具体的にやりたかったことは
スライダーとストレートでカウントを整えるというのが、このシーズン大事になると思っている。昨年はフォアボールが多くなった時にカットボールがどうしても多くなってしまったので、今季はスライダーもしくはストレートでカウントをとるという課題を持ってやっていた。

ー2回からチェンジアップ投げていたが
チェンジアップは余裕がある時という段階ですが、昨年も武器になるかなと感じていた。

ー4連続三振もあった。手応えは
(ヤンキースは開幕以降は)ラインナップも違いますから。結果よりも追い込んでから良いところに決められた球もあった。そういうプロセスを大事にしたい。

ーブルージェイズは主力メンバーだったが。打撃をどうみたか
守備の面でも心強いですよね。バッティングはベンチにいながら、すごいなぁ、同じチームで良かったな、と思いながらみていました(笑)

ーブルージェイズの猛打で攻撃が長くなり、イニング間が長かったが
よくあることなので気にはしていない。時間がたっぷりあったので、コーチと投球についてゆっくり話して、それが2イニング目に繋がった。

ー次の登板は
ストレートが今日は少し抜け気味だったので、もっと勝負できるように。コンスタントに投げれるようにと思っている。

ー春季キャンプからすぐに試合で難しさはあった
オフシーズンも仲の良いメジャー選手相手に実戦形式で投球をしてきたが、ユニフォームをきてやるのは違うし、難しさもある。

ー緊張もあったか。新天地だからか、初登板だからか
両方。どちらかというと新天地だから、というのが大きいかもしれないが。

ースライダーの使い方を少し変えたいと話していたが、ポテンシャルをあげたい?
昨年スライダーのストライク率が低かった。ビハインドになたっとき(四球が先攻の時)カットボールに続いてしまった。そこでスライダーが投げられれば相手も嫌でしょうし、緩急も含めて効果的だろうなと思う。曲がり方を変えているわけではない。

ー1球目でストライクをとるのが課題と話していたが、今日はかなり良かった
そうですね。ど真ん中でもいいのでスライダーなどで、ボンとストライクを取れればその後もすごく楽になると感じている。言うのは簡単ですが、コンスタントにファーストストライクは僕に限らず投手には大事なこと。

ー試したいことがあると話していたが、それは今日は出せたか
トライはした。少しストレートが抜け気味だったので、良い感じになってくれば大分いいのでは。カットとスライダーに関しては良かったですね。

 

チームメートも攻守盛り立てる

 「新天地での初登板に緊張した」。硬い表情でマウンドに上がった菊池を、チームメートが盛り立てた。一回表に遊撃手ビシェットが難しい球を次々とさばくと、その裏には先頭打者スプリンガーの内野安打を皮切りに4連続安打を含む5安打で3点を奪取。「守備の面でも心強い。バッティングは『すごいなぁ、同じチームで良かった』と思いながら見ていた」と笑顔で話した。

 スプリンガーは「雄星はワクワクする投球をするね。プレッシャーがあったかもしれないけれど、淡々と投げているように見えた。俺も雄星と同じチームでうれしいよ」と応じた。

 モントーヨ監督も「最初はちょっと緊張していたかな。新しいチームで初登板だったから仕方ないね。二回は落ち着いて、ストレート、スライダーなどが良かった」と評価。ウォーカー投手コーチは「新しいチームで頑張りたいと気持ちが先走り、緊張したのかもしれない。一回の後半から落ち着いて、二回は直球もよく走っていたし、ブレーキングボールもカットボールも良かった。これからも楽しみ」と期待した。

 ファンも盛り上がり、二回に菊池が3者連続三振を奪うと、スタンドから「シーズン中もこの調子で頼むよ」と声がかかった。カナダのトロントから家族5人で訪れたナディーンさんは「とてもいい投球だった。(チームに)左投手の補強が必要だったので、菊池の加入はとても大きい。シーズンがとても楽しみ」と期待を寄せた。

及川 彩子(おいかわ・あやこ)さんPROFILE
及川彩子

 米ニューヨーク在住。陸上、サッカー、ゴルフなどを幅広く取材するフリーライター。45歳。北上市出身。

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