2022.02.06

極地の「今」伝える授業 観測隊同行の教諭2人が解説

昭和基地の広場から、国内の子どもたちに手を振る渡辺雅浩教諭=4日
昭和基地の広場から、国内の子どもたちに手を振る渡辺雅浩教諭=4日

 【昭和基地で報道部・菊池健生】現役教員が昭和基地から国内の学校などに向けて行う「南極授業」が、2年ぶりに実施された。第63次南極地域観測隊(牛尾収輝隊長)に同行する情報と理科の教諭2人が5日まで、観測や極地の自然を紹介し、児童生徒の好奇心を呼び起こしている。

 「この氷山の下には、校舎約40個分の氷が沈んでいます」。宇都宮大付属小で理科を教える渡辺雅浩教諭(38)=宇都宮市出身=が昭和基地から、画面越しの同校の子どもたちに優しく語りかける。

 4日の遠隔授業では基地周辺で採取した氷を使い、氷山の大きさを実験形式で再現。自身が12日間滞在した、ラングホブデ氷河で行われた熱水掘削観測も動画を交えながら紹介した。

 渡辺教諭は「隊員は予想や仮説を基に観測する。普段の授業で子どもたちに大切にさせている考え方と同じで、普段の学びの延長線上に南極があると知ってもらいたい」と熱を込める。

昭和基地を飛び交う電波を無線機などで示す武善紀之教諭=2日

 南極派遣プログラムの教員は今回で23人に。理科が多い中、情報の教員として初めて授業したのが、日出学園中・高(千葉県市川市)の武善(たけよし)紀之教諭(30)=同県我孫子市出身=だ。

 人工知能(AI)搭載の「スマートスピーカー」で生徒に指示させ、昭和基地のカーテンを開ける実演で人工衛星を介した通信を説明。隊員も出演し、大型大気レーダーの保守などを担う虫明(むしあけ)一彦さん(62)=新光電機、岡山市出身=らが思いを語った。

 武善教諭は「南極で使われている技術にも技術者の熱い心が込められている。等身大の観測隊の姿を伝えたかった」と手応えを感じていた。

 教員南極派遣は国立極地研究所と日本極地振興会が主催し、2009年開始。62次隊は新型コロナウイルス感染対策で派遣人数を減らす必要から見送られた。

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