高エネルギー加速器研究機構(KEK、茨城県つくば市)は25日、年内設立を予定していた国際リニアコライダー(ILC)の準備研究所について、各国と共同研究を行う「代わりの枠組み」を設ける方針を公表した。ILC実現に向けたプロセスは見直すが、岡田安弘理事は取材に対し「全体計画を元の日程に近い形で進めたい」と説明した。

 KEKによると、別の枠組みを軸に各国の研究機関と協力し、ILC装置の核となる加速器の技術開発を進める。具体的な組織体制は未定だが、KEKが引き続き主導的な役割を担う。共同研究が軌道に乗るのは1年後になるとみられる。

 併せて、世界的な研究所を造ることで人材育成や科学技術の発展に資するILCの意義について、学術界や産業界など広く社会に発信する組織を立ち上げる。

 ILC計画を推進する国際将来加速器委員会(ICFA)の国際推進チームは、世界の研究機関と覚書を締結して独立した法人の準備研を設立し、日本に30人規模の本部を置いて、実現に向けた課題のクリアに取り組む予定だった。

 ところが、文部科学省の第2期有識者会議は今月、ILCの学術的意義を認めつつ、準備研設立は「時期尚早」などとする見解を公表。このため、チームは丁寧に手続きを進めるため軌道修正を図ったもようだ。

 従来のシナリオでは順調ならば、ILCの完成・稼働を35年ごろと見込んでいた。岡田理事は「全体的な計画ができるだけ元のスケジュールに近い形で進められるよう、国際的な議論を進めている」としている。

 ILCは宇宙創成の謎に迫る素粒子物理学の研究施設。岩手、宮城両県にまたがる北上山地(北上高地)が建設候補地とされ、日本政府は誘致の可否を検討している。