【東京支社】文部科学省の国際リニアコライダー(ILC)に関する第2期有識者会議は14日、見解を公表した。学術的な意義は「大きい」と評する一方、国際費用分担のめどが立っていないなどとして、日本政府による誘致への関心表明を前提に準備研究所へ移行するのは「時期尚早」とした。

 見解では、素粒子物理の発展に重要な「線形加速器」という視点を世界に発信してきた国内科学コミュニティーの活動は「評価されるべきだ」と強調。万物に質量を与えるとされる「ヒッグス粒子」を精密に調べる学術的な意義は大きいとし、ここ3年ほどで技術的な取り組みの進展も認められると説明した。

 一方、巨額投資に見合う学術的意義を持つのか、国民や幅広い科学コミュニティーの支持が「十分得られていない」と分析。関係国の参画や経費分担の見通しが立たない状況は「変わりない」とし、提案されている形で準備研究所へ移行することは「支持できる状況にない」と指摘した。

 第2期の会議は岐阜聖徳学園大の観山(みやま)正見学長を座長に計6回の会合を持った。文科省の石川貴史素粒子・原子核研究推進室長は同日、取材に対し「取りまとめ結果を海外も含めた研究者コミュニティーで共有し、今後の進め方を再検討してほしい」と述べた。

 研究者の国際推進チームが提案する準備研究所は、独立した法人として日本に本部を置き、世界の研究機関と覚書を締結してILC実現に向け環境整備に当たる。チームが拠点とする高エネルギー加速器研究機構(KEK、茨城県つくば市)の岡田安弘理事は「学術的価値や技術的な取り組みの進展は認められたと受け止める。国際共同で必要な研究を進め、改めて準備研究所の段階へ進むことを検討したい」としている。