学生時代、両親だけではなく、祖父母や伯母のすねもかじった。定期的に送られてくる「ふるさと便」が、県外で暮らす身をどれだけ救ってくれたことか。

 荷物が届く日は自宅に待機し、決まって友人と「岩手を味わう会」を開いた。他県出身者には珍しい食材も多く、喜んでくれた。

 人気の代表格が海産物。特にこの時季は、生の真っ黒いワカメやメカブをさっと熱湯にくぐらせる「海藻しゃぶしゃぶ」が好評だった。一瞬で緑色に変化し、室内に広がる磯の香り-。おいしさに驚き、目を丸くする友人たち。岩手を自慢できる瞬間だった。

 東日本大震災をはじめ、毎年のように発生する自然災害、2年も続く新型コロナウイルス禍と、最近は当たり前と思っていた生活が尊いものと気付かされる日々だ。

 一方で「当たり前」の概念が崩れるのは悪いことだけではない。われわれが日々食しているものも、他県の人にとっては、新たな発見となる場合もある。

 今が旬の、本県が生産量日本一を誇るワカメの「早採り」が店頭に並び始めた。遠方で暮らすお子さん、お孫さんに送ればきっと喜ばれるだろう。

 もう一つ提案。先日の津波に耐えた縁起がいい「落ちないワカメ」を、県内受験生にもぜひ食べてもらいたい。

(村上俊介)