【東京支社】文部科学省の国際リニアコライダー(ILC)に関する第2期の有識者会議は20日、最終の第6回会合で、研究者が目指す準備研究所の設立について、コスト面や政府間協議の状況を踏まえて「現時点では難しい」との見解を示した。学術的意義と素粒子物理学の発展の必要性は認め、ILCの展開を注視する内容も盛り込む形で近く報告を取りまとめる。

 オンラインで、委員14人中13人が出席した。ILC計画の近年の動向について「今後の見通しを明確にする大きな進展は見られない」と分析。「関係国が国内手続きを経て、それぞれの事情を共有しながら議論できる環境醸成が重要だ」と指摘した。

 研究者の国際推進チームが年内設立を目指す準備研究所は「議論を進める観点からは良いアイデア」との意見も出た。だが、コストが大きいことや、日本政府が誘致に前向きな姿勢を世界に示すことを前提としていることを念頭に「現時点では難しい」とした。

 一方で、日本が数多くのノーベル賞受賞者を輩出している分野として、世界をリードする必要性は強調。「世界の素粒子物理学、加速器科学の発展に向け、現実的な検討が行われることを期待したい」との文言を盛り込む方向となった。

 同会議は近く文科省に報告を示す。座長の観山(みやま)正見岐阜聖徳学園大学長は「日本の研究者がILCを前面に出し、世界の研究者と連携してきた実績は素晴らしいが、政府レベルの国際協力などの面で、まだ機は熟していないのではないか」と述べた。