「ウー、ウー」。16日未明、鳴り響くサイレンに緊張が走った。南太平洋・トンガ沖海底火山の噴火で太平洋沿岸などに発令された津波注意報。本県はやがて警報に切り替わり、私が住む陸前高田市でも多くの住民が眠れぬ夜を過ごした。

 避難訓練のサイレンは聞いたことがある。しかし今回は訓練ではない。これまでの取材でたくさんの人が話してくれた、東日本大震災の情景が嫌でも頭に浮かんだ。高台に移動し、取材活動に入ってからも内心は穏やかではなかった。

 陸前高田は震災後に移住してきた人も多く、同市小友町の漁業三浦尚子さん(31)もその一人。2014年に相模原市から移住し、津波注意報や警報は初めての体験だったという。「すごく怖かった」と率直に語りながらも、解除翌朝は被害を受けたカキの養殖施設の復旧作業に加わった。

 漁船で沖に乗り出し、津波の影響で移動した施設を元の位置に戻す作業に私も同行させてもらった。三浦さんは先輩たちの指示を仰ぎ、いかりやロープをてきぱきと運んでいた。

 「漁業を続ける上で学ぶべきこと。できないことをなくしたいんです」と言い切る三浦さんは心から格好よかった。情熱を持って仕事に向き合う姿勢に、私も勇気をもらったような気がした。

(菅原真由)