「おどろきのくみあわせ 日本人のちえ」「工夫広がる! 昔の学校の道具」。心情を伝える見出しやレイアウトが目を引く。力作ぞろいのパンフレットを、児童が誇らしげに掲げた。北上市中野町の黒沢尻東小(大沼英生校長、児童728人)の6年生は2学期、国語の授業で日本文化の魅力を紹介するパンフレット作りに挑戦した。岩手日報記者の出前講座で学んだ新聞づくりのこつをヒントに、正確な情報と書き手の思いの両方を分かりやすく表現した。

正確に分かりやすく 日本文化紹介パンフレット作製

 「見出しに面白い表現を使っているね」「リードが短くて読みやすい」。12月、6年2組では児童31人が完成した作品を読み比べた。

 3、4人グループで制作したパンフレットは9作品。いずれも「何を伝えたいか」「強調したいことは何か」を絞り込み、書き出しや言い回しに工夫を凝らした力作ばかりだ。児童は見出しからリード、写真の順に目を通し、読み手が短い時間でも内容を理解できる構成になっているかを確認。気付いたことや、魅力的な表現を付せんに書き込んだり、手を挙げて発表したり感想を伝え合った。

 パンフレットのテーマは「日本文化」。児童は2学期に校内外の図書館の本で学びを深め、伝統の和菓子や食、日本の遊び、昔の暮らし、竹細工をはじめとする伝統工芸や世界遺産など、思い思いに題材を選び、掘り下げた。

 当初は分かったことをただ書き、文章も長くなりがちだった児童たち。だが、記者の出前講座を通し▽見出しは短く▽主語を明確に▽リードに5W1Hを入れる▽言いたいことは前に―など、新聞作りの手法を参考に「分かりやすさ」を追求した。載せる内容の軸が定まると記事と写真、見出しに自然な統一感が生まれ、自身の思いを端的に伝える表現の幅も広がった。簡潔で要点の整理された作品が仕上がった。

 大沼校長は「学習に限らず、自分の気持ちや事実を的確に伝えることは大切。新聞の書く技術を通し、より良い力を培ってほしい」と願った。


「自分の表現につなげて」 野寺教諭に聞く

 新聞活用の幅広さや面白みについて、6学年担当の野寺幸代教諭に聞いた。

「文字や文章から心が感じられるような表現、発信ができるようになってくれたらうれしい」と話す野寺幸代教諭

 -新聞づくりのこつをパンフレットに生かした

 これまで勉強してきた新聞の形式を使うことで、より自由に表現ができるようになり、活用の幅広さを感じた。個人新聞や壁新聞などで授業に直接、新聞を取り入れることもあるが、パンフレットという別の発信媒体にも生かせることを確認できた。実際に記者から「伝えたいことを的確に伝える」ことの大切さを学んだことも、子どもたちにとって大きな刺激になった。

 -指導する上での工夫は

 分かったことをただまとめるのではなく、伝えたいことを明確にするようアドバイスした。新聞記事のように大切な部分を始めに持ってくる「逆三角形」を意識させて文章の要点を絞り、その分文字を大きくして行間を空けて読みやすくした。写真や見出しにも統一感が出せるようになり、まとまりのある文章が書けるようになった。

 -学習の成果は

 一つの記事を書くにも、テーマを決め、情報を取捨選択し、表現を工夫し、グループ内で話し合いや分担作業をするなど総合力が試された。時間や字数に限りがある中で、新しく知った物事を自分の表現で伝える面白さを実感してもらう機会になった。

 -児童へメッセージ

 今回学んだ情報や意見を発信するこつを次の表現へつなげ、生かしていってもらうことがゴール。ただ体裁を整えるのではなく、書いた文章から心を感じさせられるような表現を目指してほしい。


協力し取り組めた 徳井翔琉さん

 伝統工芸の焼き物を題材に記事を書いた。調べてまとめる作業は大変だったが、みんなで協力して一つの作品に取り組めたことがうれしかった。体言止めを使ったり、文章の終わり方を工夫したりと、読んでもらう人にとって分かりやすい表現を考えた。

見出しや文章工夫 貴家すみれさん

 「昔の道具」をテーマに選んだ。みんなで何の記事を入れるか、どんな表現で伝えたら良いか試行錯誤した。見出しの色を変えたり、太く書いたり、ポイントを前に置く「逆三角形」の文章を心がけたり工夫した。これからも文章を書くときに生かしたい。