本県有数の米どころ奥州市で、黄金色に輝く稲の収穫が進む。当たり前のような光景だが、今シーズンは記録的な雪害に猛暑という困難があった。取材を通じ助け合って困難を乗り越える農家の力強さに触れた。

 「被害から立ち直ろうとする農家の役に立ちたかった」。県南を襲った冬の雪害で多くの育苗ハウスが壊れた中、同市水沢の農業森岡誠さん(69)はこう思い、自宅に育苗ハウスを新設。被害を受けたコメ農家の分まで育てた。

 各農協や生産者が苗を増産したことで、田植えシーズンの苗の供給に大きな問題は生じなかった。仲間のために育苗に励む森岡さんの笑顔を見て、助け合いの精神で米どころを守る力強さや絆を感じた。

 今夏の猛暑がさらに難題を突き付けた。暑さで生育が早まり、刈り遅れによる品質低下が懸念された。そこで岩手江刺農協は早期収穫を促し、集荷施設利用料を一部助成。これに伴い、地区の農家同士が注意を呼び掛け合って収穫した。

 なぜ奥州には共助の精神が根付いたのだろうか。胆江地区の「胆沢扇状地」はかつて土地が荒れ、水不足などでコメが取れなかったという話を取材で知った。大勢の農家が力を合わせ水路を開削し、穀倉地帯をつくり上げたという。

 だからこそ、力を合わせようとする思いが強いのだと感じた。今年は、一層の感謝を込めながら新米を食べよう。

 (大橋秀喜)