平泉の文化遺産の世界遺産登録から10年。町内で予定されていた数々の記念行事は、新型コロナウイルス禍で中止が相次いでいるが、そんな中でも住民は工夫を凝らし、日々奮闘している。

 その一人がレンタル業やカフェを営む佐々木久美さん(42)。まちの観光客は激減したが、インターネットで伝統行事や特産品などを伝えている。

 6月には東京五輪聖火リレーの平泉町の走者を務めた。本番前日にお会いした際、驚いたのが手元のネイル。町内のサロンで仕上げてもらったというが、クオリティーがすごかった。

 「TOKYO2020」の文字やピクトグラムなど五輪仕様で、書道家武田双雲さん揮毫(きごう)の「平泉」を模したデザインも。「筆文字そっくりでお気に入り」との笑顔が印象に残る。

 コロナ対策を取りながら変わらぬ笑顔で迎えてくれる飲食店もある。先日、顔なじみの店に久しぶりに立ち寄った。「最近来ないから、引っ越しちゃったかと思ったよ」と店員さんに言われ、気に掛けてくれた優しさがうれしかった。

 登録10年は数字の区切りでしかない。平安時代の文化を守り伝えている地で日々の積み重ねを大切にする人たちから、そう気付かされた。大勢の人がまちを訪れる日常が一日も早く戻ってほしい。

(菅野燈)