白砂がよみがえった釜石市鵜住居(うのすまい)町の根浜海岸に子どもたちの歓声が響いた。東日本大震災で流失した砂浜の再生工事が完了し、初めての全面開放となった今夏の海開き。海水浴を楽しむ家族連れ、色とりどりのビーチテントが並ぶ光景に心が明るくなった。

 震災前は年約7万人が訪れていた県内有数の海水浴場。近くの防潮堤は景観に配慮して被災前と同じ5・6メートルで整備された。背景にあったのは海と共に生きると決断した住民の意向だ。防潮堤の原形復旧と高台移転による地域再生を選んだ。

 「やっぱり、いいな」。震災前を知る男性が発した言葉が印象深い。新型コロナウイルス禍で観光産業を取り巻く状況は厳しいが、復興プロセスの位置付けとして根浜海岸の復活の重みを再認識する。

 印象的といえば7月に行われた釜石鵜住居復興スタジアムでの結婚式。2019年ラグビーワールドカップ(W杯)日本大会で選手が躍動した天然芝のピッチに白いバージンロードが敷かれ、試合時のように大漁旗がなびく。開放感あふれる会場ならではの演出で新郎新婦を祝った。

 過去から積み重なっていく歴史も、これから新たに刻まれる歴史もある。その一つ一つの地域の営みと向き合い、住民と思いを共有したい。

(川端章子)