2021.08.12

入院に連帯保証人は必要? 容易に頼めず「気苦労」の声

連帯保証人の記入欄がある新潟市民病院の入院申込書。「申込者とは別に生計を営んでいる方にしてください」との注意書きがある
連帯保証人の記入欄がある新潟市民病院の入院申込書。「申込者とは別に生計を営んでいる方にしてください」との注意書きがある

 「入院の手続きをする際、連帯保証人の記載は必要ですか」。読者からこんな声が新潟日報社(新潟市)に寄せられた。少子高齢化の進展で、身寄りのない高齢者が増えていることを踏まえた問題提起だった。同社の特命取材班の会員に呼び掛けたところ、共感する声が多く寄せられた。保証人の記載を厳密に求めず、代替措置を用意する病院もある。入院の際の手続き書類に、身元引受人のほか、連帯保証人の記載を求める病院は多い。未収金の発生を防ぐ側面もあり、一般的に保証人は「患者本人と別生計の者」などの要件がある。患者によっては見つけることが困難で、容易に頼めない課題も指摘されている。

 新潟市江南区の民生委員高橋正博さん(72)は、ある夫婦から連帯保証人を頼まれた経験を踏まえ、「安心して入院できる制度が必要ではないか」と訴える。

 特命取材班会員からは約30件の意見があり、連帯保証人の記載について、「子どもがいないので高齢になってからの入院は心配だ」(胎内市の40代女性)、「容易に引き受けてくれない、頼めないのが現状」(新潟市の70代男性)など気苦労を訴える意見があった。

 新潟市の50代女性からは「独身で以前から思うところがあった。保険にはしっかり入っている。保険証券の提示などで入院できるようにしてほしい」といった要望、提案もあった。

 この問題を巡っては、総務省新潟行政評価事務所が2019年春までに県内の独立行政法人、国立大学法人の5病院を調査。連帯保証人を確保できない場合の代替措置が設けられていなかった4病院には、措置を検討するよう求めた。

 こうした動きも受け、新潟大学医歯学総合病院(新潟市中央区)は、医療費が1カ月の上限を超えた場合に超過額が支給される「高額療養費制度」の利用者に代替措置を認めている。連帯保証人を記載できない場合、公的医療保険から交付される限度額適用認定証の提示でもよいと19年7月からホームページ(HP)に明記している。

 同病院の渋谷孝巳医事課副課長は「基本的には連帯保証人の記載をお願いしたいが、患者に精神的な負担をかけていた面はあった。無理強いはできない」と語る。1日当たり40~70件ある入院手続きのうち、認定証の提示は「1件あるかないか」だが、少しずつ増えている印象という。

 国立病院機構西新潟中央病院(同市西区)は、連帯保証人を依頼することが困難な患者に対し、自動口座引き落としもあることを入院時に説明するようにした。また、一定額を払えば保証人記載が不要な「入院保証金」制度について「メリットやデメリットを調査する」(管理課)という。

 県外では、東京大学医学部付属病院(東京)などが、クレジットカードによる支払いができれば連帯保証人の記載は不要にしている。HPでも周知している。

 一方、退院から3カ月が経過しても入院費が支払われない未収金を防ぐ観点から、代替措置の導入に踏み切れない病院もある。

 新潟市民病院(中央区)は、原則として連帯保証人の記載を求めている。

 「公立病院の立場として、できるだけ未収金は少なくしたい」と小林基医事課長。4月末時点で市民病院の未収金は約7500万円に上るという。

 ただ、1人暮らしの高齢者らから「身近に頼れる人がいない」「入院していることを親戚に伝えたくない」といった相談はあるといい、小林課長は「関東圏などで見直しの動きがあることは承知している。検討は進めたい」と話している。

 (新潟日報社提供)

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