ちょうど今、二戸地域はサクランボの収穫が最盛期を迎えている。直径2センチを超す真っ赤な大粒が、ツルを見せず、縦横ぴたっとそろえた「置き並べ」で箱詰めされた様子は、まさに宝石箱のようだ。もちろん甘くておいしい。

 自然の恵みに感謝する一方で、厳しさも教えられる。春先の低温で収穫量は例年の6割ほど。二戸市米沢の農業藤村亮一さん(65)は「4月中旬から天気予報を欠かさず見てハウスのビニールを掛けたり、練炭をたいて温度管理を徹底して何とか乗り切った」と振り返る。

 低温の影響はサクランボだけではない。ウルシの花の蜂蜜生産を手掛ける同市福岡の折戸養蜂場では、いつもは異なるウルシとクリの開花期がそろってしまい、今季は純粋なウルシ蜂蜜は採れなかった。代表の折戸斉(ひとし)さん(62)は「ウルシを始めて5年ほどだが採れないのは初めて。自然相手なので仕方ない」と苦労をにじませる。

 これから大粒のブルーベリー「カシオペアブルー」にリンゴ「冬恋」、トマトなどの夏野菜から米と、たくさんのおいしいものが取れる時季を迎える。一方で、食べるだけでは知らないままとなる生産者の苦労や思いもある。引っかかった健康診断の結果を気にしつつ、まずは食べて、そして取材して多くの人に伝えていきたい。

(石森明洋)