4月に着任し、あっという間の2カ月だった。東日本大震災発生から11年目を迎えた沿岸支局での勤務。流れた月日の分だけ積み重なる思いを、先輩記者がつないできたバトンを、どう伝えていくべきか自問自答している。

 先月、震災で流失した高田松原の再生に向けた最後の植樹会を取材した。高田松原を守る会と高田高生、長年活動を支えてきたボランティアが参加。例年、全国からボランティアを招くが最後は新型コロナウイルス感染症の影響で縮小開催となった。大規模なセレモニーはないが参加者の静かに湧き上がる喜びが印象に残った。

 「すんげーうれしいよ。みんなで一緒にこの日を迎えられたらよかったな」。震災前から同会で松原の保全活動を続ける小山芳弘副理事長(69)は津波の犠牲になった9人の会員を思い語った。

 慣れない手つきながら、松苗を扱う高校生の表情は真剣そのもの。「スピード感を大事にしよう」と声を掛け合い、小山副理事長らの指導に耳を傾けて取り組む姿に思わず頰が緩んだ。

 松原がやがて彼らの思い出の場所になるように、世代は確実に移り変わる。思いを託された高校生たちに負けじと、あれこれ悩みながら「今ここ」の姿を後世につないでいきたい。

(菅原真由)