国際リニアコライダー(ILC)計画の実現を目指す「国際推進チーム」は2日、前身となる準備研究所の提案書を公表した。2022年に設立し、世界各国の加速器研究所とパートナーシップを結び、物品や技術の提供を得て運営。法人格を持つ独立した組織とし、日本に本部を置く。岩手、宮城両県にまたがる北上山地(北上高地)での建設を想定し、4年間で工学設計書の策定や環境影響評価などを推進する。

 提案書を基に日本を含む各国の研究所はそれぞれが担うべき作業や役割を検討。各国政府に対し、必要な予算要求の手続きに取り組む。

 提案書によると、準備研究所は世界の研究機関と覚書を締結。資金拠出ではなく、物品や技術などを提供する「現物支給」の形で参画を得る。独立した法人とし、日本に置く本部はトップの所長や加速器、土木、研究の各部門長ら30人体制(常勤換算)で運営する。

 任務として加速器の技術的準備の仕上げや土木工事やインフラ整備の設計検討や環境影響評価作業、ILCの実験プログラムの準備、各国当局や地域自治体への情報提供などに取り組む。主要装置のコスト削減の研究なども進め、北上山地に合わせた工学設計書は4年目に完成させる。

 国際推進チームは、世界の主要な加速器研究所の所長らでつくる国際将来加速器委員会(ICFA)が昨年8月設置。スイス連邦工科大ローザンヌ校の中田達也名誉教授が議長を務め、高エネルギー加速器研究機構(KEK、茨城県つくば市)を拠点に準備研究所の組み立てを進めてきた。

 同チームのリエゾン(連絡調整役)を務めるKEKの岡田安弘理事は2日、岩手日報社の取材に対し「提案書の完成はチームの主要なマイルストーン(中間目標)の達成を意味する。今後、ILCに関心を持つ世界の研究機関の合意を得て、準備研究所の設立活動を進めていく」と説明した。

 KEKは同日、日本学術会議などで指摘されたILC計画に関する課題の取り組み状況を公表した。国際的な費用分担については今後、各国の研究者と連携してそれぞれの政府に情報提供し、議論を始める環境を整えると説明。国民の理解促進は準備研究所の重要任務の一つとして努めると強調した。