新トレ@岩手酸素

地域知り人間力向

 北上市和賀町藤根の岩手酸素(堀内健一代表取締役社長)はこのほど、社員研修の一環として、岩手日報社のNIB講座「新トレ(新聞トレーニング)」を取り入れた。仕事上のコミュニケーション力アップはもとより、人生の充実度への貢献を期待する。堀内代表取締役社長は「地域を知ることが、地域で幸せに生きる土台になると感じてほしい」と語る。

記事を介して自分の意見や興味を紹介する「1分プレゼン」で交流する参加者

 同講座は3回続きで、情報収集のノウハウから、仕事に役立つアウトプット術までを総合的に学ぶプログラム。同社研修室で行われ、社員11人が参加した。岩手日報社社員が講師を務めた。

 初回の3日は、新聞の構成や効率的な読み方が紹介された。新聞は、見出しと写真、「リード」と呼ばれる記事の第一段落に目を通すことで大まかな内容を把握でき、わずか10分でも多くの情報に触れることができる。「誰でも・わかりやすく」読める編集の工夫に、参加者はうなずきながら聞き入った。

 実際に新聞に使われた写真を選ぶクイズでは「どういう基準で選ぶんだろう」などと編集サイドの意図や写真の持つ意味に思いを巡らせた。

 10日に開催された2回目は、仕事に役立つ情報の集め方、使い方を実践。講師が「繰り返し使われる旬のキーワードから社会の流れが読み解ける」と話すと、参加者からは「最近は『ワクチン接種』。『新型株』も目に付く」「『東京五輪』は気になるね」などと声が上がった。

 グループワークでは、ファイルやスマートフォンにとりためた記事の切り抜きを使ってプレゼンにトライ。PTAへの入会問題を報じた記事から時代の流れを読み取ったり、事件記事から人の安否を案じたりと、視点や立場で見方が変わる新聞の面白さや、記事を要約し自分の意見を端的に伝える難しさも体感した。

 社員の満足度が地域への思いやりにつながり、巡り巡って社の発展につながる「三方よし」が信条の同社。地域を知ることで高まる雑談力が、ひいては総合的な人間力につながることを体感する好機となった。


社会とつながり実感を

堀内健一代表取締役社長に聞く

 岩手酸素の堀内健一代表取締役社長に、仕事と新聞との関わりなどを聞いた。

(聞き手=NIE・読者部 鈴木弘樹)

「地域で商売をする上でお客様や地域との意思疎通は大切。新聞は良いツールだ」と語る岩手酸素の堀内健一代表取締役社長

-新トレを導入した狙いは。

「社員が、社会や人とのつながりを肌で感じられるようになってほしい。岩手日報には、地域のささやかな行事も載っている。これがつながりを実感しやすい。記事を人ごとではなく自分のこととして受け止めると、周囲に生かされている自分に気がつき、お客さまへの感謝の念が深くなる。また、新聞を読むと、あまり興味のなかった出来事の記事が目に飛び込んできて新たな発見をすることもある」

-新聞を業務にどう生かしているか。

 「日本経済新聞の原油動向や為替が、最も仕事に関係してくるので神経をとがらせている。岩手日報では県民が求めている理想像や世相が分かる」

-自身と新聞の関わりは。

「毎朝、愛犬の散歩を済ませた後にゆっくり読む。地域の身近な記事、慶弔欄や事件事故は外せないし、岩手日報の主張『論説』には注目している。『声』も読者のいろんな意見があって楽しい」

-仕事上、顧客とのつながりは深いと思う。どういう社員を育てたいか。

 「私たちは、ガスや油に関する商品を販売したり、配管工事をしている。特に医療ガスやLPガス、灯油は生活に直結するインフラ商品で、無くなるととても困る。安定供給でお客さまの役に立つということが私たちの生きがい。社員が納得した仕事を提供して喜んでいただくことが大切だ。社員の能力、個性をどう発揮してもらうかは、経営者の仕事」

-会社理念にある「三方よし」とは?

 「売り手よし 買い手よし 世間よし そして三方ありがとう」が会社理念。永続的に商売が続くためには、売り手と買い手が共存しなければならない。もうけが出なければ店はつぶれてしまうし、もうけ過ぎるとお客さまは離れる。また、都合のよい売り方を買い手に押しつければお客さまに嫌われるが、スタッフの人数や品ぞろえには限界がある。ちょうどよいバランスの着地点を求める際に大切なのは意思疎通。コミュニケーション能力をフルに発揮してお客さまの本音を聞き出さなければならない。そのために新聞で言葉や情報を知るのは大事だ」

 


仕事上の会話に役立てる・菅原神美さん

 仕事でほぼ全県を回っており、新聞に知っている土地や人が載るとうれしい。年配の方は情報源が新聞なので、仕事上のコミュニケーション手段としても活用できそう。読み方次第で簡単に目を通せると分かったので、手に取ることも増えそうだ。

声欄の多様な意見に共感・高橋未耶さん

 新鮮で楽しかった。10分読みのノウハウで読む時間が短縮し、普段は読まない経済欄にも興味が出てきた。好きなのは声欄。県内のさまざまな立場の人の意見に共感したり、学んだり。そうして地域に思いをはせるきっかけになるのも地方紙の良いところだ。

地元密着のニュース楽しい・伊藤貴洋さん

 これまで新聞を読む機会があまりなかった。新聞には地元密着のニュースが載っていることを知り、興味のあるニュースもあって意外と楽しい。講座をきっかけに新聞を読み始めたが、今では朝一番に読まなければという気持ちになって、読むくせがついた。

効果的な読み方分かった・内沢裕一さん

 スマホでは大きいニュースや偏った情報しか見ることができなかった。新聞の効果的な読み方が分かり、お客さまと接する時に役に立ちそう。常日頃、迅速で丁寧な燃料の配達を心掛けている。花巻出身だが北上のことをもっと知って、みなさんのお役に立ちたい。

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